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2013AFL グランドファイナルシリーズ

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2013年9月23日(月)
2013 AFL グランドファイナルシリーズ
AFL Grand Final
AFL オーストラリアンフットボール
AFL Australian Football
MCG メルボルン・クリケット・グランド
メルボルン Melbourne
この場所の地図 Google Map

この記事は日豪プレス10月号に書いたものだが、グランドファイナルは28日に、ホーソン・ホークス対フリーマントル・ドッカーズで行われる。ドッカーズが勝てば初優勝となる。

撮影データ Canon EOS 5DMarkU 絞り優先AE スポット測光 絞りF5.6 1/500秒 ISO感度 3200 露出補正 オート JPG レンズ EF 24−70mm f/2.8L USM
2009年5月8日21:09 板屋雅博 撮影


レギュラー・シーズンの上位8チームが9月のファイナル・シリーズに進み、9月28日の土曜日にメルボルン・クリケッ ト・グラウンド(MCG)でGFが行われる。最終23ラウンドの対戦相手を考えると、8チームは確定であるが、若干の順位変動はある。
優勝本命はホーソン

 昨年2012年AFL GFは、筆者が本命と予想したシドニーが優勝し、優勝杯はNSW州へと移った。AFLは1リーグ制全18チームで戦っているが、NWS州、SA州、WA 州、QL州が各2チームと、VIC州10チームと、発祥の地であるVIC州に偏っている。しかし優勝杯は01年から06年まではQLD州、 SA州、NSW州を巡った。昨年の覇者シドニーが連覇するかどうかも見所である。

総合力で見ると、現在1位のホーソンが少しだけ抜けていて本命。2位のジローンはこれまで5敗と下位チームに取りこぼしが多く不安定だが、 ホーソンから2勝しており、GFでこの2強の戦いとなれば、この6年間で3回のGF優勝をしてきた本来の試合巧者ぶりが発揮される可能性は高い。
 ファイナル・シリーズは、レギュラー・シーズンの1位と2位が圧倒的に優位に設定されている。現在3位のフリーマントルはラウンド23に予定されるシドニー対ホーソン戦の結果では2位に躍り出る可能性がある。優勝の可能性はほとんどこの3チームに絞られる。
 AFLは変則的な対戦構成になっている。1シーズン23ラウンドの中、全チーム1回の不戦ラウンドがあるので、5チームとは2回、12チームとは1回のみの対戦であり、組み合わせによっては有利不利があり、日本人ならば疑問に思う点だが、オージーはあまり細かいことは気にしていない。

  主なルールを理解しよう
AFLは1チーム18人で、楕円形のグラウンドで戦う。人気スポーツであるクリケットの選手がシーズン・オフの冬場に練 習をするためにオーストラリアン・フットボール(AF)が作られたという説もあるが、両者はボールを使うことと楕円形グランド(オーバル)を使う事以外は 全く似ていない。
 AFLのグラウンドは、サッカー競技場の2倍以上の広さがあり、大男たちが広いグラウンドを縦横無尽に走り回るところが最大の魅力だ。1 チーム18人というのもほかの球技にはない。MCGやシドニー・クリケット・グラウンド(SCG)などのクリケット競技場が使用される。
 AFは、創始者トム・ウィルスが1850年に英国ラグビー高校に留学した際に、ラグビーとは違った新大陸らしい新しいスポーツを作り出した ものだ。ラグビーに似ているが、より制限が少なく自由でおおらかなスポーツと言える。英国ラグビー高校でラグビーが成立したのは1830年代なので、AF発祥とは20年ほどしか違わない。1RTR 20分×4QTRだが、タイムアウトの時間があり1QTRはだいたい25分程度。

ゲームの展開と見所
審判がボールを地面に叩きつけ、バウンスといって強く跳ね上がったボールを両チームのラックマンが高くジャンプして奪い合って試合は始まる。ラックマンは背が高く相手を圧倒する体力と100キロを超す体重とともにジャンプ力が要求されるポジションだ。
 ラックマンが奪い取ったボールは、バウンス周辺に散開する数名のミッドフィルダー(MF)が処理する。MFは敏捷で運動神経が必要で、勝負の行方を決める重要なポジション。小柄な選手も多い。ゴールドコーストのゲリー・アブレット、ジローンのジョエル・セルウッド、エッセンドン のジョブ・ワトソン、コリンウッドのスコット・ペンドルブリーなど個人総合得点のトップクラスの選手が多く、キャプテンも多い。MFの敏速な 動きと相手へのプレッシャーやタックルも見逃せない。

 MFからゴール・ポスト前に陣取るフォワードにボールが送られる。ボールは基本的にはキックで前方へ送る。手で投げるのは禁止だが、ハン ド・パスと言ってゴールを拳骨で弾くことはできる。
 キックは、ダイレクトでゴール・ポストへ放り込んでもいいし、転がして入れてもいい。4本のゴール・ポストがあり、中央部に入れると6点の ゴール。両サイドに入れると1点でビハインドと呼ばれる。ゴールの際、審判が両手の人差し指を頭上から前に降ろす動作がコミカルで面白い。

選手はボールをダイレクトで受け取るとフリーキックが与えられる。オフサイド・ルールはなく、これがAFLのゲームが100点を越える原因だ。50メートル・ラインの外側からの放物線を描く豪快なゴールキックは爽快で一番の見所である。チームのヒーローであるキッカーは、子どもたちの人気アイドルでもある。ホーソンのランス・グランクリンとジャリード・ラフヘッド、コリンウッドのトラビス・クローク、ジローンのトム・ホーキンスなどが有名選手。最もゴール数が多い選手に与えられる2012年コールマン賞はリッチモンドのジャック・リーウォルドが受賞している。

GF進出が予想される上位チーム
9月のメルボルンはまだまだ肌寒い。地元ファンと一体になって熱く盛り上がるのがお薦めだ。
 まずは贔屓のチームを決めよう。そして次には贔屓チームのグッズを身に着ける。マフラー、帽子、旗が3種の神器。熱心なファンは贔屓チー ム・ジャケットも着用する。そして最後は、贔屓のチームとトップ・チームの有名選手を数名覚えよう。AFLのアプリを利用すれば最新情報が簡 単に入手できる。


@ホーソン・ホークス(Hawthorn Hawks)
 設立1902年。本拠地MCG。優勝10回の古豪。2008年に驚異の逆転でジローンを破って優勝したのは記憶に新し い。キャプテンはルーク・ホッジ。ランス・グランクリンとジャリード・ラフヘッドの2人の高得点キッカーを誇る。ユニホームの茶色と黄色の縦 縞には、第2フランチャイズのタスマニアの大きな文字が光る。


Aジローン・キャッツ(Geelong Cats)
 設立は1859年でメルボルン・デーモンズに次ぐ最古参チーム。本拠地はVIC州第2の都市ジローンにあるシモンズ・ スタディアム。優勝16回。最近6年間はジローンの時代と言っていいほどの高い実績を残している。07年優勝時の監督や主力選手の多くが去り 世代交代期を迎えているが、まだ上位にいるのは立派。

Bフリーマントル・ドッカーズ(Fremantle Dockers)
 本拠地はパースのスビアコ・オーバル。1994年設立。フリーマントルは港湾都市であり胸のマークは船の錨。フレオの 別名を持つ。新加入のゴールドコースト(2011年)とGWシドニー・ジャイアンツ(2012年)を除く伝統チームでは唯一、GF優勝の経験がない。長く低迷してきたチームであるがWA州では人気チームであり、逆転で初優勝すれば快挙だ。

Cシドニー・スワンズ(Sydney Swans)
 母体であるサウス・メルボルン時代も含めると設立1874年。優勝10回。1982年に経済的な理由でシドニーへ移 動。本拠地SCG。注目選手はMFの元キャプテン、アダム・グーズ(アボリジニ出身)とジョシュ・ケネディー。

Dリッチモンド・タイガース(Richmond Tigers)
 優勝12回の古豪で名選手を輩出してきたが1980年を最後に優勝から遠ざかっている。逆転優勝を熱狂的なファンは待ち望んでいる。注目の選手はキッカーのジャック・リーウォルド。

  Eコリンウッド・マグパイズ(Collingwood Magpies)
 2010年のチャンピオン。2011年準優勝。昨年も優勝候補のダークホースであったが、今シーズンは中位に沈んでいる。猛烈なファンが多いが、他チームからは嫌われている悪役。スター選手そろいだが、注目はMFのスコット・ペンデルブリ。

Fエッセンドン・ボンバーズ(Essendon Bombers)
 優勝回数16回はAFL最多の古豪。チームのサプリメントがドーピング違反として現在審議中。首脳部全員の辞任、更迭が予想され、ファイナル・シリーズどころではないのがチームの事情。

Gポートアデレード・パワー(Port Adelaide Power)
 1980年の設立だが、優勝は2004年の1回。2007年には準優勝。ほとんど目立たないチームで個人総合得点50位以内の選手はトラビス・ボークのみ。GFで優勝の可能性は無い。

そしてグランド・ファイナル・ウィーク

 9月の土・日曜日にメルボルン市内を歩くとAFLグッズを身にまとった人々に出会う。MCGで試合を楽しむ人々以外に も、贔屓のチームを誇るためにもチーム・カラーを身にまとう。子どもやファミリー、若者に限らず、ビジネス界や政界でも贔屓チームのネクタイ をしている人も多い。
 メルボルンではビジネスの際に、AFLの話題から入るのは常識。ちなみにメルボルン大卒のジュリア・ギラード前首相はウエスタン・ブルドッ グの熱烈なファンだ。

●TACカップGF
(9月22日(日)2:10PM 於:エティハッド・スタディアム)
 18歳以下のAFL候補が活躍するリーグの決勝戦で、未来のAFLの若きスターたちが見られる。今年はジローン・ファルコンズが優勝候補。



●ブロウンロー・メダル・ファッション・パレード
(9月23日(月)10AM 於:フェデレーション・スクエア)
 AFLで最も権威があるブロウンロー・メダルは、MVPに加えてフェア・プレーが要求されるため、受賞はかなり難しい。試合ごとに審判が与 えたポイントを合計し、その最高得点選手をこの日に発表する。当日の朝には市内フェデレーション・スクエアで、選手とファッション・パレード が行われる。



●ブロウンロー・メダル授賞式
(9月23日(月)7PM 於:クラウン・カジノ)
 授賞式は、午後5時からアトリウムのエントランスに敷かれたブルー・カーペットで入場が始まるが、選手よりも、むしろモデル顔負けの美人な 奥様、ガールフレンドの豪華な宝石とファッションに注目が集まり、テレビやメディアの取材が行われる。一般の人も見学できる。今年の受賞の本 命は、AFL個人得点で見るとトップでゴールドコーストのゲリー・アブレット。対抗はジローンのキャプテン、ジョエル・セルウッド。
 なおAFLは、ゴール、キック、マーク、ハンドリング、タックルなどすべてのプレーを数字化して個人総合得点を付けて順位を付けて発表して いる。これにより各選手の活躍度がひと目で分かる。ただしフェア・プレー度は得点化できないので審判が審査している。
 個人総合得点システムはオージーの合理的な考え方や大雑把な点をよく表しているが、日本の野球やサッカーでも取り入れるとより選手の活躍が 分かりやすいと思う。


●AFLキッズ・ショー
(9月24日(火)10AM 於:フェデレーション・スクエア)
 AFLの若い選手などが子どもたちの相手をしてくれる。

●ライブ・ミュージック
(9月25日(水)12PM 於:フェデレーション・スクエア)

●AFLディスプレー
(9月26日(木)12:30PM 於:フェデレーション・スクエア)

●テレビ番組「フッティー・ショー・スペクタクル」
(9月26日(木)9PM 於:ロッドレーバー・アリーナ)


 
●GF出場チーム・パレード
(9月27日(金)12PM 於:メルボルン市内)
 GFの両チームによるパレードがメルボルン市内を通って旧財務省ビルまで行われる。午前11時ごろからスワンストン通りとコリンズ・スト リートに行こう。旧財務省ビル特設ステージでセレモニーが行われるのでスプリング通りに近い場所がお薦め。


●AFLグランド・ファイナル
(9月28日(土)2:30PM 於:MCG)
 フェデレーション・スクエアとMCG外の巨大スクリーンに生中継されるので、ビールやワインを片手に声援しよう。

●優勝チームお披露目会
(9月28日(土)6PM 於:フェデレーション・スクエア)
 優勝チームがファンにお披露目。たいへんな数の人が集まるので、GF終了直後には向かった方が無難。


 ●優勝チーム・ファン祝賀会
(9月29日(日)12PM〜3PM 於:優勝チーム・ホーム・グラウンド)
 ホーソンはグレンフェリー・オーバル、ジローンはシモンズ・スタジアムなどだが、詳細な場所・時間は当日の新聞またはチームのサイトに掲載 されるので要チェック。選手たちの話もたっぷり聞けるし、選手と一緒に写真を撮ったりもできる。



 
 MCGは収容人員10万人と豪州最大のスタジアムだが、GF入場券は地元ファンでも入手は困難。テレビ観戦をしながら家 族、友人とBBQを楽しむのが一般的だ。MCGのあるヤラ・パークでもBBQをしながらGFの雰囲気を楽しむ家族連れがたくさん見られる。
 メルボルン市内やホーソン、ジローンなど参戦チームの本拠地のパブやレストランは昼前から満員となっている。どこかに潜り込んで楽しむのも 一手。
 豪州を代表する国技AFLを楽しむためには、贔屓のチームを作り、友人たちと一緒に盛り上がることが100%満喫するためのコツ。ルールと 有名選手を多少覚えて、大いに楽しもう。
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