2017年8月6日(日)
AFL FINAL SERIES 2017
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日豪プレス月号の記事
撮影データ Canon EOS 5DMarkU 絞り優先AE スポット測光 絞りF2.8 1/1600秒 ISO感度 100 露出補正 オート
JPG レンズ EF 24−70mm f/2.8L USM
2010年9月24日13:08 板屋雅博 撮影
冬のシーズンの終わりを告げるAFLファイナルシリーズと優勝を決めるグランドファイナルの季節となった。今年はアデレード・クロウズ(Adelaide
Crows)が初戦から安定して勝利を重ねてトップで終盤を迎えている。
オーストラリアン・フットボールは、オーストリア発祥のオリジナルスポーツである。オーストラリアン・フットボール・リーグ(AFL)はプロ競技でVic州、SA州、WA州では絶大な人気を誇る。9月にプレーオフ、ファイナルシリーズを行い、最終週に年間チャンピオンを決めるグランドファイナル(GF)が行われる。
(記事は8月6日時点のもの)
今シーズンを振り返ると共にファイナルシリーズの戦力分析をしてみる。
この5年間は、ホーソンの時代と言われ昨年もGFの本命と言われながら、伏兵のウェスタン・ブルドッグスがGF優勝をさらった。ところが今シーズンのホーソンは初戦から4連敗して下位に低迷している。昨年優勝のブルドッグスも後半戦で連敗を重ねてファイナル進出が危うい。ファン数No1で人気チームのコリンウッドも10位以下で元気がない。
{アデレード・クロウズ}
南豪州アデレードを本拠地とし、1990年に設立。過去2回のGF優勝経験がある。この5年は5位、7位、10位、11位、2位とまずまずの成績を残している。今年は、2位が5週ほどあるがほとんどを1位で終盤まで来ている。主力選手は、フォワードでテイラー・ウォーカー、同じくフォワードのエディー・ベッツの2枚の大砲を抱える。
更にミッドフィルダーのマット・クラウチなど好選手を抱える。ただし2012年の2位を除けばトップチームとの競い合い経験が足りない。
{GWSジャイアンツ}
シドニー西部と首都キャンベラを本拠地とし2012年から参戦した最も新しいチーム。既存17チームから選手を集めた。当然、最下位からスタートしたが、昨年は4位に急浮上し、目覚ましい活躍をしている。過去の実績はないが、ダークホースとなっている。注目の選手は、元ジーロンのスター選手でスティービーJの愛称を持つスティーブ・ジョンソン。
{リッチモンド・タイガース}
1885年設立で優勝10回の古豪名門チーム。1980年の優勝を最後に長く低迷が続いたが、この5年ほどは上位に定着してきた。有料会員数もベスト3に入り熱狂的なサポーターが多いので、37年ぶりの優勝をファンならずとも応援している。
注目はキッカーのスター選手のジャック・リーウォルド(セントキルダのスター選手、ニック・リーウォルドの甥)、ミッドフィルダーのダスティン・マーチン、キャプテンのトレント・コチン。
{ジーロン・キャッツ}
この10年では2007、09、11と3回のGF優勝を含め、上位に陣取っている。設立は1859年と2番目に古い名門チーム。2011年の優勝メンバーの多くは引退やトレードで去ったが、今年は優勝を狙っている。AFLでNo1と言われる闘将キャプテン、ジョエル・セルウッドと弟のスコット、トマホークの愛称の大砲のトム・ホーキンス、昨年ブロウンロー・メダルを受賞したパトリック・デンジャーフィールドが注目の選手。優勝候補筆頭と言いたいが、終盤戦でアデレード、シドニーに負けたのが気になる。
{シドニー・スワンズ }
母体はサウス・メルボルンで新天地を求めて1982年にシドニーへ移動。長らく低迷が続いたが2005年と2012年に優勝するなどこの10年は上位に定着している。
今シーズンは、初戦から6連敗したが、その後は10勝2敗で這い上がってきた。
注目の選手はランス・フランクリン(愛称バディー)。最もゴール数が多い選手に与えられるAFLコールマン賞を3度受賞した大型キッカーで今年も既に52ゴールを記録している。キャプテンのジョシュ・ケネディは常に選手ランキング上位に位置する好選手でブロウンロー・メダルの候補である。順位は低いが実績から言うと優勝候補のひとつである。
{メルボルン・デーモンズ}
AFL最古のチームでオーストラリアンフットボールの伝説のチームだが、1964年以来は優勝がなく、この10年はファイナルにも一度も進んでいない。GF優勝は無理としてもなんとかファイナルに進んでもらいたい。
{ウェスタン・ブルドッグス}
メルボルン西部のフッツクレイが本拠地。昨年はシーズン7位であったが、ファイナルシリーズを4連勝して62年ぶりのGF優勝を勝ち取った。今年もファイナル進出ぎrぎりの成績だが、しぶとさが身上のチームだけに上位進出を狙っている。
【AFLのチームと試合数】
メルボルンが発祥の地であり、1リーグ制18チームの中でVic州が10チーム、QLD州、NSW州、SA州、WA州が各2チームの構成だ。
NSW州のGWSジャイアンツ、QLD州のゴールドコースト・サンズが最近、新たに加わったチームである。
18チーム1リーグ制というのは世界のプロスポーツでも例がない。
レギュラーシーズンは、3月下旬から8月末まで23ラウンドが闘われる。各チーム1回の不戦週があるので、実際には22試合を戦う。日本のプロ野球140試合に比べると非常に少ない。18チームで22戦だと、2回対戦する相手チームと1回しか対戦しないチームが出てくる。
各9チームx2リーグ制にして、各2回づつ戦う18ラウンド制にする方が日本人は合理的と思うが、そのような議論はAFLではまったく聞いたことがない。
【ファイナルシリーズ】
シーズン上位8チームで争われるが、1位、2位は地元スタディアムが使えるなど圧倒的に有利な仕組みになっている。下位4チームが勝ち進むのは困難であるし歴史上も滅多にないのだが、昨年のウェスタン・ブルドッグはその滅多にない例であった。
【グランドファイナル・フライデー】
州政府公式サイトによると昨年同様に、今年と来年、GF前日を祝日・公休日と決定した。Vic州首相のダニエル・アンドリュースが2年前に決定したものである。
ビクトリア発祥のAFLを州政府として応援すると共に、経済効果を狙ったとされている。民間のスポーツ大会の前日を祝日にするのは日本では考えられないが、メルボルンカップデーの前例がありイベントが大好きなメルボルンならではのお祭りである。
【GF入場者と視聴者】
GFは伝統的に9月の最終土曜日にメルボルン・クリケット・グラウンドで行われる。昨年の入場者数は99,981名であるが、入場券の入手は非常に難しい。AFLのサイトでは$1200から販売している。テレビではセブンネットワークで放映し、650万人が視聴する。
【オージー・ルール】
オーストラリアン・フットボールは、オージールールとも呼ばれ独特の規定を持つ。
競技場は、楕円形でオーバルと呼ばれ、サッカー場の2倍以上の広さを持つ。
ラグビーボールより少し小さな楕円形の革製ボールを使用する。プレーする選手数は、1チーム18名。試合開始は中央(センターサークル)でアンパイヤ(審判)がボールを地面にたたき付ける(センターバウンス)。高く跳ね上がったボールを、2mを超える長身の選手(ラックマン)が高く飛び上がって奪い合う。長身のラックマンが高く飛ぶ空中戦がAFLの見所のひとつ。
ラックマンが奪取したボールを処理するのは、小柄なミッドフィルダーである。大柄なラックマンやゴールキッカーに比べて派手さはないが、試合を左右する重要なポジションである。ゴールドコーストサンズのゲリー・アブレットやジーロンのジョエル・セルウッドが代表格である。
キックを多用する点でサッカーに似ており、ボールを集団で奪い合うところはラグビーに似ているが、高く舞い上がったボールを奪い合う点ではバスケットボールに似ている。パスは、ハンドパスと呼ばれボールの下端を手で叩いて放る。ラグビーと違って前方へもパスをすることが出来る。遠距離へのパスはキックも使える。
ボールを持ったまま走る場合には15mに1回、バウンドさせればOK。
キックされたボールを、ノーバウンドで取るとマークとなる。プレーヤーはフリーキックか、試合続行かを選ぶことができる。
得点
AFLのグランドには、両サイドの中央に高いポールが2本、外側に低いポールが2本立っている。中央のポール間に蹴り込むと6点(ゴール)。外側に蹴り込むと1点(ビハインド)が得点される。ゴロでも良いが、必ず蹴りこむことが必要。
ゴールの際には、ゴール・アンパイアは独特の動作で両手のひと差し指を前に突き出す。アンパイアのコミカルな動作にも注目したい。この数年で女性アンパイヤも増えている。
ゲームは4クオーター制(Q)で行われる。各20分だがロスタイムがあるので実質25分ほどになる。2Qが終わった時点でハーフタイムとなるが休み時間を利用してフィールドでは各種の催しものが行われる。ファンの子供たちがフットボールをして楽しむ姿が見られる。
AFLルールの大きなポイントはオフサイドが無い点だ。ミッドフィルダーからキックされたボールをゴール前で待ち構えるフォワードがマークすると、フリーキックが与えられ、中央ゴールにけり込むといとも簡単に6点が入る。AFLで100点を越える得点になることが多いのはこの理由である。選手が疲れてきた4Qに大逆転が起こるので最期まで見届けたい。
GFウィークの主な行事
●ブロウンロー・メダル授賞式 9月25日(月)7PM 於:クラウン・カジノ
最優秀選手賞だが、フェアプレーも重視される。各試合で審判が記入した得点シートを授賞式の際に合計して発表する。
AFLでは、全登録選手をゴール数、タックル数、ボール処理数、ラン距離など多くの指標を設けて選手をポイントで評価して試合ごとに発表している。チーム成績とは別に、選手の位置づけが判りやすい。
午後5時からアトリウムのエントランスに敷かれたブルー・カーペットで入場が始まるが、選手よりもむしろモデル顔負けの美人の奥様やガールフレンドと豪華な宝石とファッションに注目が集まる。今年の筆者の予想は、リッチモンドのダスティン・マーティン、又はホーソンのトム・ミッチェル。ホーソンは、ファイナル圏外であり、ダスティン・マーティンで決まりだろう。
●GF出場チーム・パレード 9月29日(金)11AM 於:メルボルン市内
メルボルン市内オールドトレジャリービルからスプリング通りを南下して、ウェリントンパレードを東へ進み、ヤラパークのMCGまでパレードが行われる。
両チームの選手がオープンカーに乗り、両側を約10万人の観衆が見守る。
パレードにはGFチケットを入手できなかった人々など誰でも参加できるために超満員の状態となる。パレード好きのメルボルンでも最大の観客が集まる。
MCG前の特設ステージでセレモニーが行われ、両チームのキャプテンがGF優勝カップを前に健闘を誓うところが見所。早めに特設ステージ前に陣取ることがこつである。
午前10時から午後2時まで市内の主要道路は閉鎖になるので注意。
●AFLグランド・ファイナル 9月30日(土)2:30PM 於:MCG
その週はGFウィークと呼ばれメルボルン全体が興奮に包まれる。ファイナルシリーズが行われる9月はメルボルン市内を歩くとマフラーや帽子など贔屓チームのAFLグッズを身にまとった人々に出会う。ビジネス界や政界でも贔屓チームのネクタイをしている人も多い。ほとんどのメルボルンっ子はGF会場には入れないので、自宅や公園でパーティをして盛り上がる。市内のほとんどのパブでもGFのテレビを放映。
●優勝チームお披露目 9月30日(土)6PM 於:フェデレーション・スクエア)
優勝チーム選手がファンにお披露目。
●優勝チームファン感謝祭 10月1日(日)優勝チームのホームグラウンド。詳細な場所・時間は当日の新聞またはチームのサイトに掲載されるので要チェック。選手たちの話もたっぷり聞けるし、選手と一緒に写真を撮ったりもできる。
Melbourne Cricket Ground (MCG)
Brunton Avenue, Jolimont 3002
Telephone: (03) 9657 8867
http://www.afl.com.au/
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