2013年3月5日(火)
2013年豪州F1グランプリ観戦ガイド
グレートオーシャンロード
Great Ocean Road ビクトリア Victoria
この場所の地図 Google Map
日豪プレス紙に筆者が寄稿した記事を紹介する。
モータースポーツの最高峰F1グランプリ(GP)は、3月14日から17日までメルボルンのアルバートパークで実施される。2013年のF1GPレース界の展望と見所を紹介する。
写真 オーストラリア観光局提供
今年のF1グランプリを前にビクトリア州政府観光局がF1模擬マシンをグレートオーシャンロードで走らせた。一般の車は遮断してふたりのりのF1模擬マシンが世界的な観光地を走った。
2013年F1GPは全19戦が行われるが、今年もメルボルンGPで幕を明ける。第一戦であることはメルボルンにとって重要な意味がある。シーズン開幕戦は世界の注目を浴びる為、今後の開催が危ぶまれるメルボルンにとっては継続する理由のひとつとなっているからだ。5千万ドル以上の巨額な経費に見合う直接的な収入がないことや、化石燃料を消費するF1に対する環境問題など批判的な意見もあるが、豪州はV8スーパーカーなどモータースポーツファンが多いのも事実。観光やスポーツで世界の主要都市を目指すVIC州としては目玉のひとつとして確保しておきたいところ。当面2015年までの契約は決まっているが、欧米のテレビ視聴者に合わせた夜間開催問題なども浮上している。
テッド・ベイリュウVIC州首相などは積極派であり、今年はグレートオーシャンロードでのF1疑似マシンを走らせるなど、各種イベントなども年明けから開催しており意欲的である。
今年のF1GPを引っ張るのは、レッドブル、フェラーリ、マクラーレンの御三家。
昨年レッドブルは、セバスチャン・ベッテルが5勝、マーク・ウェバーが2勝と安定してポイントを稼いだ。
ベッテルは、ミハエル・シューマッハ以来の3年連続の世界チャンピオンに輝いた。年間11勝と爆発した2011年ほどではないがまだ25歳と若く、今年も優勝の可能性が高い。
オーストラリア期待のウェバーも個人6位と年間優勝を伺う。豪州は1980年のアラン・ジョーンズから年間優勝が無い。オーストラリアンGPでも1980年のジョーンズ以来、オージーの優勝が無い。昨年は、ウェバーが4位と頑張っており、今年はぜひ優勝を飾って地元の期待に応えてもらいたい。
ここ数年フェラーリは元気がなかったが、昨年はフェルナンド・アロンソが3勝し、ベッテルと最終戦ブラジルGPまで世界チャンピオンを争うなど気を吐き、年間ポイントではわずか3点差までレッドブルに詰め寄った。解雇の恐れすらあったフェリッペ・マッサだが、昨年後半は上位に食い込んで復調の兆しを見せた。
マクラーレンは、ルイス・ハミルトンが4勝、ジェンソン・バトンが3勝と勝利数ではレッドブルと同じ。ハミルトンは、今年はマクラーレンを離れ、メルセデスへ移動。代わりにセルジオ・ペレスが入ったがハミルトンが抜けた穴を埋められるかが課題だ。
逆にハミルトンを得たメルセデスは、上位の一角に浮上が予想される。
注目すべきはロータス・ルノーが4位に食い込んできたことだ。2007年の世界チャンピオン、キミ・ライコネンが昨年F1に復帰し、アブダビGPで優勝した。ロータスは前身も含めて20年以上の歴史を持つがうれしい初優勝を飾った。ライコネンも個人部門で堂々の3位に食い込み元世界チャンピオンの実力を見せつけた。
ロータスはもうひとつ注目すべき点がある。ロマン・グロージャンがスタート直後や第一週目にクラッシュを多発している。自身のキャリア20戦中11戦で衝突事故を起こしている。2012年は、豪州、マレーシア、スペイン、モナコ、英国、ドイツ、ベルギー、日本と8戦で追突。それでいて個人8位に食い込んでいるのだから、立派と云うかあきれると云うか。「レース一周目の狂人」というあだ名がマーク・ウェバーによって付けられている。良くも悪くも今年のF1の台風の目となると他チームは戦々恐々としている。
レッドブルとフェラーリの2強をマクラーレン、ロータス、メルセデスが追う戦いとなる。
2012年最終戦ブラジルGPで、史上最高の91回の優勝、世界チャンピオン7回を誇るミハエル・シューマッハが引退した。2010年に復帰してからは1勝もできなかったが、ベテランが去るのはさびしい。小林可夢偉は、2010年に参戦してから3年が終わる2012年末でザウバーのシートを失った。2012年は日本GPで3位入賞し、鈴木亜久里、佐藤琢磨に続き日本人3人目のF1GPの表彰台を飾った。9回の入賞で60ポイントを獲得して個人12位となったが、残念ながら契約延長には至らなかった。追い抜き技術などアグレッシブなドライビングテクニックには高い評価がある。ドライバーの移動に伴いいくつかのチームに空席が出る可能性がある。2014年にはまたメルボルンに戻ってくると期待したい。
メルボルンGPが開催されるアルバート・パークは、シティから3キロほど南にあり、市内最大の公園で、F1レースは、美しいアルバート・パークの湖を周回する5.3キロの公道を使用して行われる。高低差はほとんどなく、カンタベリー通り側のホーム・ストレッチや、セント・キルダ通り側の直線コースでは、F1の高速走行の醍醐味が味わえる。一方でスポーツ・センター前や海側のサイドは、厳しいカーブが続き、第6コーナーなどドライバーを悩ます難コーナーが多いくタフなコースが売り物だ。高速から低速までの幅広いマシン性能とドライバーの高度な技術が要求される
シティ会場へのアクセス。
会場には、10か所の入場ゲートがある。シティから約10分のシャトル便トラムが往復する。途中乗下車は出来ない。入場券を持った人は無料。
シティから近いのはゲート3,4,5だが、会場内でのアクセスが悪い。トラム、ミドルパーク駅前の1番ゲートはメインゲートであり、催し物会場、屋台街なども近く一番のお勧め。セントキルダ通り側の8番、9番ゲートは入場者が少ない上に、湖の仮設浮き橋を渡るとメインゲート前に出られる利点がある。駐車場は会場、周辺にも無く、車で行くのは難しいので注意。シティから3番ゲートまで歩いても20分ほど。帰りのトラムは非常に混んでいるので歩くのも一手。
お勧めの観戦場所。
広大なアルバートパークのどこで観戦するかは重要なポイント。
レース開始の2時間前には観戦場所を確保しよう。
レースコース、観戦スタンド、催し物コーナー、VIPエリアなどいろいろな設備があり、関係者でも入れない場所がほとんど。まずは入場ゲートで地図を入手しよう。会場のあちこちでも配布しているので無くしても大丈夫。
第一ゲートを入るとF1GPグッヅなどの売店が並ぶ広場に出る。
グランドスタンドや企業用コーポレートスタンドが並び、一般入場券では観戦できない。レースコースをまたぐ陸橋を渡り左側へ行くと第2コーナーから第3コーナーにかけて、広い芝生の丘がある。ここがまず一番目の観戦場所。直線での高速F1の走りを楽しめる。F1初心者の場合は、マシン速度が速すぎてどのチームのマシンが走っているのか良くわからないほど。早めに良い場所を陣取ること。メインゲートから陸橋を渡らずに、左に歩いていったところにも芝生が広がる。芝生にビニールを広げてのんびり出来る。ここも高速レースの観戦が楽しめる。
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