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テニスクラシック 2009年  6月号

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最新トピックスfromオーストラリア 

Aussie Press (6月号:4月14日締切

タイトル:
オーストラリアのジュニアテニス事情


今回は、オーストラリアのジュニアのテニス事情について紹介しよう。

シンプルで統一されたシステムが
オージーテニスのベースだ

テニスに限らないが、他のスポーツや政治経済なども含めてオーストラリアのシステムは、シンプルでわかりやすいのが特徴だ。
オーストラリアは、世界中からの移民で構成された国であり、誰にでも理解できる、わかりやすさ、公明正大さが常に大切なのだ。

全体を統括しているのはテニスオーストラリアで、その傘下にテニスビクトリアやテニスクインズランドなどの州組織がある。ジュニアの組織もテニスオーストラリア、テニスビクトリアなどが統括している。
共にオーストラリアンオープンの会場であるメルボルンパークに本拠地を置いている。

オーストラリアの学校は、
こうなっている。

ジュニアテニスの理解のために、まずオーストラリアの学校システムを説明しよう。
オーストラリアは、公立学校(パブリック)と、私立学校(プライベート)があり、プライマリースクール(小学校)、セカンダリースクール(中学校、高校)がある。
5歳児の幼稚園(プレップ)が1年あって、それからYear One(小学校1年生)からYear 12(高校3年生)までがある。

公立校、私立校ともにスポーツ施設やクラブを持っているが、私立校は、資金的に余裕があるので、立派なテニスコートを持っている学校もある。
水泳や、クリケット、サッカーなどのクラブ活動はどこの学校にもあるが、テニスクラブを持っている学校はそれほど多くない。

授業料も公立と
私立では大違い。

授業料は、公立校では、プライマリースクールで年数百ドル(数万円)、セカンダリースクールで年1300ドル(10万円)程度である。
私立校になるとプライマリースクールで年5000ドル(30万円)から8000ドル(50万円)、セカンダリースクールで年15000ドル(100万円)程度と非常に大きな開きがある。
教育内容にも費用に負けずに格段の差がある。もちろん公立校に行っても、有名大学に進む子供も少なくない。

ジュニアもテニスクラブから
スタートする。

ジュニア(18歳以下)のテニスも大人同様に、地域のテニスクラブのメンバーになってテニスをすることが多い。ジュニアの組織は、おとなの組織とは別に独立しているが、おとなの組織とほぼ同様である。
シーズンは、年に2回で春シーズンと秋シーズンに行われる。(夏と冬のシーズンに行う場所もある。)年中暑いクインズランドと四季がはっきりしたビクトリアではもちろんかなりテニス事情が違う。

各テニスクラブは、地域別にリージョンが分かれている。メルボルンの場合は、10いくつかのリージョンがある。また地域別ではない視聴覚障害団体や教会団体などもあり、それぞれのリージョン、団体で独立した組織として運営される。
例えば、ベイサイド地区アソシエーション、イーストリージョンテニスアソシエーションという具合だ。

それぞれのアソシエーションの中にテニスのレベル別に20のセクションがある。セクション20が初心者で、セクション1が最上級者だ。

テニスクラブのセクションで
上位を目指す。

あるテニスクラブに初めてテニスをする子供が入会したとしよう。
幼少の子供達は、まず4−5才くらいの年齢からピーウィーテニス(Pee Wee Tennis)と云うところからテニスを覚える。親がテニスの経験があれば、親がピーウィーテニスのコーチをすることもある。

5−6歳時以上は、まずはコーチについてテニスレッスンを受け、初心者レベルであるセクション20にからスタートする。子供たちの人数によるがいくつかのグループに分かれる。
各グループは、ゲームの関係で最低でも4名は必要だ。通常は、6−7名である。
ひとつのセクションに8クラブが参加し、試合は、クラブ対抗の形式を取る。
ホームとアウェイの形式で、毎週土曜日の午前中に、対抗戦試合をする。

シーズンで上位の成績を収めると、そのグループは、属するセクションから上のセクションへ上がっていく。
これが一般的なジュニアのテニスであり、大半のジュニアは、テニスクラブでのリラックスしたテニスを楽しんでいる。

高校のテニスは、
メジャーではない。

トップを目指すジュニアはどうであるか。
メルボルンやオーストラリアのほとんどの高校には、テニスコートがある。
しかし授業で使う目的の場合が多く、テニスクラブで使用するには限界がある。
もちろんテニスが強い名門私立高校もあり、高校の大会で勝ち抜いていく場合もあるが、トップを目指すテニス青少年はジュニアーツアーを目指すことが早道である。

OJTジュニアランキングツアーで
トップを目指す。

OJT(オプタスジュニアツアー)というジュニアのためのランキングツアーとITF主催の大会がある。
OJTは、州毎に開かれており、ビクトリア州では、年間20大会ほどがある。
それぞれの大会は、各地のテニスクラブが主催する大会や、テニスメーカーメーカーの主催大会などがある。
各大会のランキングポイントは、オーストラリアランキングテーブルにレベルや人口などを加味してテニスビクトリアが決定する。
ITFの大会は、オーストラリアンオープンジュニアチャンピオンシップ(1月オーストラリアオープンに合わせて開催される。)、ジュニアデビスカップ/フェドカップ(アジア、オセアニア予選)、ガリポリ記念ITFユースカップ(4月29日ANZACDAYの祝日に開催される。)の3大会である。
OJTツアーの全国大会は、12月にオーストラリアンジュニアチャンピオンシップが行われる。
ITFやOJT全国大会は、ほとんどがメルボルンパークで実施される。
青少年のOJT,プロのPC(プロサーキット)やAMT(オーストラリアン・マネー・トーナメント)、ナショナルオープントーナメントなどのテニス大会は、全てテニスオーストラリアやテニスビクトリアが一元管理している。

シンプルなシステムと厚い組織が
ジュニアを育てる。

レイトンヒューイットなど、オーストラリアの主なトップテニスプレーヤーもオーストラリアンランキングトーナメントのジュニアーツアーから育っている。
シンプルで誰にでも開かれたシステムと、地域のテニスクラブを通じた厚い組織がオーストラリアジュニアを育てる本質と云えるだろう。
地域によってばらつきがあるが、人気が高いのは、冬のオーストラリアンフットボール(メルボルン、アデレード、パース)とラグビー(シドニー、ブリスベン)、夏のクリケット(豪州全体)だ。
女性には、ネットボールといってバスケットボールに類似したスポーツが人気だ。
クリケット、ネットボールなどは英国連邦諸国でプレーされる独特のスポーツだ。
サッカーもワールドカップでのサッカールーの活躍で人気が高まっている。
サッカールーとは、カンガルーをもじったもので、オーストラリアナショナルチームの愛称だ。日本対オーストラリアは、オーストラリアでも人気の組み合わせになっている。

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