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テニスクラシック 2009年  3月号

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最新トピックスfromオーストラリア 

Aussie Press (3月号:1月14日締切

タイトル:
メルボルン流スローライフ


今月号から新たにスタートした“Aussie Press”。このコーナーでは、毎月オーストラリアの最新事情を紹介していく。今月は先日閉幕したばかりのオーストラリアンオープンの開催地、メルボルンについての歴史、街並み、テニス事情について触れてみよう。

住みやすく、美しい街“メルボルン”
メルボルンは、ロンドンやパリ、ミラノなどヨーロッパの古都に良く似た街並みと云われ、世界で最も住みやすい都市に何度も選ばれた素晴らしい街だ。数多くの手入れがゆき届いた公園に囲まれており、ガーデンシティの別名を持つ美しい街でもある。
人口は370万人。大都市としての魅力を備えるだけでなく、オーストラリアンオープンやF1グランプリなど世界的なビックイベントを毎年開催し、毎年数多くの観光客がこの街を訪れる。
そのメルボルンは、170年以上の歴史を持つオーストラリアの中では伝統を誇る街である。1851年に始まるゴールドラッシュによりマーベラスメルボルンと言われるほどの繁栄を経てオーストラリアでもbPの大都市に成長。1901年にイギリスの植民地から独立してオーストラリア連邦となった際には、オーストラリア最初の首都に選ばれた。
 現在ではシドニーと並ぶオーストラリアの2大都市として、オーストラリアの政治、経済に大きな影響を持っている。

テニスクラブの年間費用は
年間$100−$200が平均


メルボルンは、どこまでをメルボルンに含めるかによって数え方が異なるが、10数の市に分かれており、各市は、それぞれ10ほどのサバーブと呼ばれる区にわかれている。テニスクラブは、各サバーブに少ないところでも2〜3、大きいサバーブは、5〜6あり、メルボルン全体では100以上存在する。
クラブは、コート4面ほどの小さいものから50面を越える伝統と格式を持つものまでさまざま。各クラブは、テニスビクトリアという公的な団体に所属しており、テニスビクトリアは、更にテニスオーストラリアという全国組織に属している。そのテニスビクトリアとテニスオーストラリアは、どちらもメルボルンパークにあり、ほぼ同じ団体と考えていい。そしてテニスオーストラリアが、オーストラリアンオープンの開催団体でもあるのだ。
各クラブの会員は、小さいところで30〜50名、大きいところでは300〜500名となっており、メンバー費用は、年間$100−$200程度のところがほとんど。ただ、かつてオーストラリアンオープンの会場であったKooyong Lawn Tennis Clubなどは入会金だけでも$2000超! そのような超ビップクラブも存在する。
会員になるには、申し込み書に記入するだけのところが多いが、名門になるとメンバーの推薦が必要なところも。外国人や、英語がうまくしゃべれないといった理由で断られることはまずない。メルボルンは移民の都市であり、これだけ多くの異なる民族が共に暮らしている都市で、これほど問題が少ない都市は他にはないと言われている。こう言ってはシドニーの住人に反発されると思うが、メルボルンとシドニーでは雲泥の差があって、メルボルンが圧倒的に住みやすいと言えよう。

恵まれたテニス環境
各テニスクラブは、主に地域(サバーブ)に所属しており、メルボルンでテニスを楽しんでいる人は車で10分以内や、歩いて通える場所にあるクラブのメンバーになることが多い。もちろん転居後などで遠くから通ってくるメンバーもいるが、ほとんどが地元の人たちである。各クラブには、テニスコート、クラブハウス、バーベキュー設備、子供の遊び場などがあり、駐車場など広い敷地を持っているところがほとんどである。冬場は、5時過ぎには暗くなるので、夜間照明もほとんどのクラブが設置している。
クラブでは週に2回ほどのクラブ内競技会(コンペ)があり、土曜日の午後はクラブ単位で対抗戦を行っている。例えば、そのクラブが西メルボルン地区の大会に参加していれば、他の1チームを招いてクラブ対クラブのゲームを行い、その結果をメルボルンパークにある本部に連絡する、という具合である。もちろん逆に遠征に出かけることも半分はある仕組みである。ふたつのクラブでゲームを行い、その結果を本部に連絡し大会を進めていく方式は、テニスに限らず多くのスポーツ団体が採用しているシステムなのだ。

仲間とゆっくり楽しむ
スローなテニスライフ


メルボルンと日本の大きな違いは、会社が定時に終わることだろう。午後、3時半から5時半まで、会社により個人により退社定時は違うが、残業はまずない。個人が残業をしないというより、社会全体が残業をしない構造になっているという方が近い。金曜日の午後3時過ぎには、何かと用事を見つけて三々五々、退社していくのは社会に余裕があるせいであろう。上司が率先して退社することもあり、早めに退社したからといって問題になることはない。
通勤時間も30分以内の人が多いので、5時に会社を出れば、5時半過ぎにはコートに到着できる。それから8時頃まで2時間ほどテニスを楽しんだ後は、みんなで軽食、紅茶、コーヒーなどを楽しむ。メルボルンは、サマータイム制を取っており、夏の日には夜9時過ぎまで屋外は明るいので、プレー後に軽食を取ってもまだ日が暮れるには時間があるのだ。
テニスクラブに限らず、ゴルフクラブ、ローンボーリングクラブ、ボートクラブなどメルボルンのスポーツクラブは、社交クラブである点も見逃せない。練習や競技の後は、みんなで持ち寄った軽食を食べながら、1時間ほど話をするのがクラブの重要なアクティビティである。
そしてメルボルンっ子の特徴が、社交面を重視すること。もちろんスポーツを楽しむことに間違いはないのだが、勝負に関する感覚はかなり薄いと言えよう。あまり勝ち負けを気にする人は少なく、ゆっくりとした時間を仲間と楽しむ、スローライフがここにはあるのだ。

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