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テニスクラシック 2010年  4月号

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最新トピックスfromオーストラリア 

Aussie Press (4月号:2月14日締切

タイトル:
ワールドカップとメルボルン・パーク再開発


今年のグランドスラムのスタートを切ってオーストラリアン・オープンが開催されたが、その期間中、当地オーストラリアでは、ワールドカップ構想の話題で沸いた。 
オーストラリアン・オープンの開催地メルボルン・パークの再開発と併せて紹介する。。

ジェンバ社のワールドカッププラン
オーストラリアン・オープンの直前に、ワールドカップ構想がメルボルンのジエイジ紙、ヘラルドサン紙などの主要一般新聞紙上で話題となった。 
AFL(オーストラリアン・プロフットボール)のかつての名選手、ジェームズ・ハード氏が社長を務めるマーケティング会社ジェンバ社(本社、メルボルン)が提案している。
このワールドカップ構想の概略は、2年ごとの開催、参加32カ国、10日間の日程、試合時間を短縮する新しいフォーマット、試合途中での選手の交代制、FIFAワールドカップと同様に参加国の持ち回り開催、グランドスラム4大会の後の9月から10月に開催、早ければ2011年が最初の開催年などで構成されている。 
ポイントは、世界マーケットをターゲットにしたスピーディで魅せるテニス大会を作り出すことにある。
ハード氏は、2009年中に世界の有力プレーヤー、ATP、ITF、世界中の大手メディアにワールドカップ構想を持ち込んでいる。
デビスカップは、110年の歴史を誇る重要な大会であるが、それだけでは新しい観客をテニスに導入することは出来ない。伝統を守るだけでは滅びる。新しいチャレンジが必要だと云っている。 
ワールドカップ構想の最も難しい点は、日程。 現在でも世界のトッププレーヤーは、4大大会を中心にして超過密スケジュール。この上、更に連続10日間の日程を組み込むことは不可能に近い。
ハード氏は、否定しているが、ワールドカップが設立された場合に、デビスカップが危機にさらされることは間違いない。開催日程からするとジャパン・オープンへの影響も懸念される。

トッププレーヤーも同意?
オーストラリアン・オープン直前の段階では、新聞紙上を賑わせたことは確かだが、まだ真偽のほどははっきりしていなかった。
ところが、オーストラリアン・オープンが始まりトッププレーヤー数名から、積極的なコメントが出されてから、真剣味を帯びた話題へと展開した。
オーストラリアン・オープンが中盤に差し掛かるころ、ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレー、ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダルなどのトッププレーヤーが、ワールドカップ構想に好意的との談話が各誌に載った。ジョコビッチは、ATP選手会(Players’ Council)は、非公式に検討することを明らかにしている。トップ選手たちは、現在のテニス界に改善と進歩をもたらすことであれば、前向きに検討すると語っている。
アンディ・マレーは、より積極的で、ワールドカップは、非常に魅力的なプランであり、デビスカップが廃止されるのもやむを得ない、他の多くのトッププレーヤーも歓迎していると語っている。
マスコミで見る限りではトッププレーヤーはワールドカップに前向きな意見に思われる。 

メルボルンに取って起死回生のプランか?
オーストラリアン・オープンでは、レイトン・ヒューイット、サマンサ・ストーサが共に4回戦で負けて、今年も優勝は出来なかった。ワールドカップ構想がオーストラリアでかなり支持された背景には、グランドスラムでの勝利がままならない実態をワールドカップ構想で晴らそうというかのようであった。
オーストラリアン・オープン、デビスカップともにオーストラリアは、多くの優勝を勝ち取ってきたが、既に過去のものになっている。ワールドカップがオーストラリアへ良い影響を与えるかは疑問があるが、少なくとも一般観客やビジネス面には好影響が考えられる。

1月末のオーストラリアン・オープンの優勝決定のころには、ITFから慎重論が出て、トップ選手たちも積極的な発言は控えるようになった。ただ水面下で交渉が継続されることは確実で、今年のデビスカップへのトップ選手の参加が減るようだと、この構想が一気に表面化する可能性はある。

メルボルン・パークの再開発計画
オーストラリアン・オープンが終盤に差し掛かる1月26日、ビクトリア州ジョン・ブランビー首相は、オー
ストラリアン・オープンの開催地であるメルボルン・パークの再開発計画を発表した。
約300億円を投じて再開発を行い、オーストラリアン・オープンの開催を2036年まで確保する積極的
なプランだ。
センターコートであるロッドレーバー・アリーナとハイセンス・アリーナは、現在の姿を残して大幅改装
し、第三のコートであるマーガレット・コート・アリーナを屋根付きのコートに大改造する。 
いくつかの屋根付き広場を新設し、現在の22面の屋外テニスコートに加えて、新たに21面の屋外コートを新設。中央部をお祭り広場、いわゆるピアッツアスタイルとして、エンターテインメント面をより充実させる。

3つの屋根付きコートを持つのは、グランドスラム4大大会会場で初めてのケースとなる。この結果、雨
天、悪天候での開催を保証できる世界最大のテニスセンターとなる。

もちろんテニス以外のメルボルンの大規模集会施設として利用することを目論んでいる。
巨額の投資をする理由として、大幅に増大するオーストラリアン・オープンの観客を快適に収容すること、及び、南半球、アジア、オーストラリアでは並ぶものがない一大多目的テニスセンターを作り上げることにあるとブランビー首相は語っている。
第一期工事は、今年4月にスタートして、5年をかけて完成する。
世界中でオーストラリアン・オープンの視聴者は、2億人以上と云われる。直接、間接的にメルボルン
入ってくる観光収入は莫大だ。
「今こそ、世界的な要求に対処する時期だ。」とブランビー首相は力強く述べている。

ワールドカップ構想とメルボルン・パーク再開発は、直接には関係が無い。
しかしメルボルンが世界的に魅力あるテニスセンターであれば、第一回ワールドカップのメルボルンでの開催も夢ではない。
2010年代に入って、オーストラリア・テニスが世界にどうコミットメントをするか注目したい。


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