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Aussie Press (11月号:9月14日締切)

タイトル:

エクストリーム 極限下のテニス

オーストラリア大陸は、北は熱帯雨林気候のクイーンズランドから、亜寒帯気候のタスマニア、砂漠の中央オーストラリア、地中海性気候の都市部と様々。
様々なエクストリームな環境下でどのようにしてベストコンディションで戦うかの研究が進んでいる。

2009年のオーストラリアン・オープンの際、最高気温は43度に達し、エクストリーム・ヒート規則が適用され、全ての屋外の試合は、中止。屋内の試合は、開閉式屋根を閉じる。といった措置が取られた。
その10日後には、メルボルンの気温は、46.4度と都市部では過去最高を記録し、ブラックサタデーと呼ばれる大災害となった。
オーストラリアの大都市は、ブリスベン、シドニー、メルボルン、パースなど数千キロを隔てており、テニス選手たちは、気温、気候、時差などの違いを乗り越えて国内各地で戦っている。ATP, WTAの世界ランカーになると世界の様々な環境の中でプレーしている。

まず厳しい環境を認識すること。
テニスプレーヤーがテニスコートで直面する環境面の問題は、気温、日差し、風、湿度、高度などがあるが、どれも十分に対処可能である。
自分がどのような環境に置かれているのかを十分に客観的に認識することがファーストステップ。
試合当日、突然の高温や強風になることも十分にありうることであり、日頃の練習の際にその対策を練っておくことが必要。
本やインターネットでは、高温対処法や水・スポーツドリンクの大切さを目にするが、プレーヤーたちが実際に経験してみて初めて真実を理解できるというのがオーストラリア的対処法である。

高気温への対策
クイーンズランドなどの亜熱帯地域では、積極的にプレーヤーを37℃、湿度95%などエクストリームな環境下でのプレーを経験させている。
真夏の太陽の下、午後の日差しが厳しい時間帯で敢えて、プレーを経験することは重要なことと考えられている。
オーバートレーニングのコンセプトのもとに、過酷な条件下で水やスポーツドリンクの摂取法、休憩の取り方などを学ばせる為だ。
この環境に慣れてくると、高温の環境での試合を好むようにさえなってくる。

日差し対策
日焼けを防ぐには、サンスクリーン、帽子、サングラスが三種の神器。
オーストラリアの上空は、オゾン層が薄く紫外線が強い。
オーストラリアン・オープンが開催される 1月は紫外線の影響が最も強く、わずか 10分で深刻な日焼けを引き起こす。
政府は、覚えやすい標語を作ってスローガンとしている。
スリップ:遮光効果がある長そで着用。
スロップ: SPF30以上のサンスクリーン使用。
スラップ:幅広帽子を着用。
シーク:日蔭で休憩。
スライド:オーストラリア規格のサングラスを着用。
詳しくは、テニス・クラシック2009年11月号Aussie Press参照

第三の敵は、風
メルボルンは、世界的な海の難所であるバス海峡から直接、強風が吹きこみ、オーストラリアンオープンで戦うプレーヤーたちを悩ませる。
強風用のゲームプランを立て実際のコンディションの中で何度も練習しておくことが要求される。
繰り返しの練習により気持ちを落ち着かせて集中することができ、自信を持ってプレーできるようになる。
強風下では、ゲームプランをシンプルにすること。ファーストサーブを確実に決める。普段よりコートのセンターを狙う。などもコーチが進める方法だ。

水分補給の大切さ
37℃、湿度95%などのエキストリームな条件下で、一度も水分を取らずに、1−2時間の練習前と練習後で、体重を量ってみるということもやってみる。
どれだけの水分が汗として流れ出たかが判り、水分補給の大切さはプレーヤーたちは身にしみてわかる。
水分補給は、テニスプレーのかなり前から必要で、のどが渇いたと思った時には、既に脱水症状が始まっている。
グランドスラムでトップ選手は常に水分補給をしているのを見たことがあるはずだ。
水とスポーツドリンクの接種バランスにも気をつけること。
一般には、3対1といわれているが、人によって違うのでベストのバランスを日頃から試しておくことも大切。

ウェアを頻繁に取り換える。
メルボルンの天候は、一日に四季があると云われ、天候が変わりやすく、春夏秋冬用のウェアを準備したい。
天候によって試合中にどの程度、汗をかくかを想定して、取り替え用のウェアを数枚、準備する。
テニスウェアは、体にぴったりしたものよりも、若干、緩めを使用し、通気性が良い素材などに気をつける。

天候を味方につける。
エクストリームな天候を敵に回したら勝ち目は無く、見方につける。
雨が降り出した場合には、長い時間、待たされることもいつものことだ。
日本と違い、雨が降り出しても、数十分から1時間ほどで雨は上がる。
その間、気持ちを途切れさせず、集中力を持続することがトッププレーヤーには要求される。
多くのトッププレーヤーは精神集中に独自のスタイルを持っているが、グランドスラムなどの控室や練習コートで試合が始まる前にトッププレーや精神を集中している姿を見ることができる。そういった自分自身のスタイルを確立し、気候にも影響されなくなった時に、勝利への方程式が出来る。
厳しい気候を受け入れない若い選手が時々見かけるが、自分だけでなく相手も同じ条件であることを理解すること。
エキストリームな気候をどう受け入れて、対処するかは、プレーヤーが最高のパフォーマンスを発揮する上で避けられない課題だ。

試合後や練習後のリカバリー
リカバリーは、軽視される傾向があるが、試合後や練習後に栄養供給、ストレッチ、水分補給などをトレーニング・プログラムに取り入れること。
試合中、強度の負荷がプレーヤーの身体にかかる一方、試合後の20分から30分の間、プレーヤーの身体は栄養素を急激に受け入れることが出来る。
自分に合った食べ物、果物、高い抗酸化力を持つサプリメントなどを選択して取り入れ、体の中の水分をできるけクリーンにするため、水やスポーツドリンクなどでの水分補給も必要。
試合で相手と握手した時に試合は終わったのではなく、リカバリーが終わった時にこそ本当に試合が終わったのだ。とテニス・オーストラリアのプロフェッショナルコーチは述べている。

日本の夏は、高温多湿でかつ期間が長く、冬は非常に寒い。エキストリームは、オーストラリアよりむしろ日本であるかもしれない。。
過酷な環境の中で、無理なプレーをすると命を縮めかねない。
日頃から環境への配慮と関心を持って自分なりの対処法を作っておくことが一番の秘訣と云える。

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