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テニスクラシック 2010年  3月号

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最新トピックスfromオーストラリア 

Aussie Press (3月号:1月22日締切

タイトル:
オーストラリアン・オープン・テニス ヒット・フォー・ハイ


オーストラリアン・オープン・テニス開催前日の1月17日(日)にセンターコートであるロッド・レーバー・アリーナで、ハイチ大地震の被災者支援のためのチャリティーマッチ ヒット・フォー・ハイチが行われた。
 このチャリティー・マッチは、いくつかの点で、オーストラリアや世界のテニスの現状を表していて興味深い。

グランドスラム大会前日にチャリティーマッチ!!
 チャリティー・マッチは、ロジャー・フェデラーの呼びかけにより行われ、セレーナ・ウィリアムス、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ、キム・クライシュテルス、アンディ・ロディック、レイトン・ヒューイット、サマンサ・ストーサーが参加。 
ナダル、ロディック、クライシュテルスは、翌日の大会初日にゲームがあるにも関わらず、練習時間を犠牲にして参加。
 イベントは前日の16日に告知されたにもかかわらず、会場には1万5000人が詰めかけ、チケットは、売り切れとなった。
入場料は10豪ドルで、20万豪ドル以上の支援金が集まった。

オーストラリアのチャリティー事情
オーストラリアや西欧諸国では、チャリティーは、ごく日常的な出来事だ。クリスマスやイースターなどの大きなイベントはもちろん、小学校の学芸会から、マラソン大会、コンサートなどチャリティーを目標とした大会やチャリティーが付属となったイベント(基金集めという意味で、ファンド・レイジングと云う。)は、ごく一般的だ。平均的なオーストラリアの家庭のチャリティー募金総額は、日本の家庭の数十倍以上に上がると思われる。
 出演者や主催者もチャリティーイベントへの熱意はかなりのもの。ボランティアで数百人を集めるのは、それほど難しいことではない。
もっともオーストラリアでは組織的に物事を進めるのは得意だが、何事にものんびりやるお国柄であり、通常はかなり時間がかかる。今回は、オーストラリアン・オープンの組織委員会がそのままボランティアとしてチャリティーの運営を実施したことが成功の秘訣だ。
給料、休暇など仕事に対する要求はきっちりと主張するオージーだが、ボランティアとなると話は別。 今回のチャリティー・マッチでもかなりの量の仕事をわずか1日で行ったのだが、特に不満が出たという話はない。
 フェデラー、ナダルなど世界のトップ選手が、大会前日の練習時間を犠牲にしても、率先してチャリティーを行うのは、欧米の社会では当然のマナー。 みな当然の行為として受け取っていて、特別な意識は無い。
チャリティーの映像を見た方は、理解できると思うが、チャリティーとは云いながらも参加者はみなリラックスして楽しみながらやっていることも特徴。チャリティーをボランティアも参加者も楽しみながら実施するのが欧米社会の豊かな点である。

インターネットへの依存が高い。
チャリティー・マッチの発表は、前日にマスコミへリリースされた。テレビなどでも一部、報道されたが主な情報源はインターネット。わずか1日で1万5000人の参観者が集まるのは、オーストラリアン・オープンへの関心の高さとともにオーストラリアにおいてインターネットの普及を物語っている。 
 オーストラリアン・オープンのチケットの購入もインターネットが、はるかに効率良い。会場の窓口で並ぶと1時間以上は待たされることになる。
 人件費の比率が高いオーストラリアでは、テニスコートの予約から大学、役所などの申請、登録など社会の事務作業の多くは、ランニングコストとしての人件費が低いインターネット経由に移行しつつある。
 オーストラリアで生活するにはパソコンやインターネットは不可欠と云える。

トップ選手をサポートするのはマネージング・チーム
ハイチ・チャリティーマッチの前日までの4日間、メルボルンで伝統のクーヨン・クラシックが開催された。フェデラーなど毎年、豪華な出場者で知られているが、世界トップランカー男子招待選手8名によるトーナメント。オーストラリアン・オープン直前の大会のため、選手の棄権がよくある。このため、今年は、バーナード・トミック対ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレー対サム・クエリーなどのエキジビジョン・マッチもいくつか組まれた。
このように数日前、または当日に急きょゲームが組み込まれることは、トップ選手のあいだでは日常的な出来事。
トップ選手のマッチ・メーキング・マネージャーがクーヨン・クラシックや豪州オープン大会関係者と打合せしながら、即断で、マッチ・スケジュールを組み込んでいく。もちろんビジネスであり、相応のギャランティーが支払われる。こればかりは、インターネットですませると云う訳にはいかない。メールは多用されているものの、マネージャーの能力にかかっている。
フェデラーやナダルなど世界のトップ選手のスケジュールはもちろん非常にタイトだ。少しの時間といえども常に予定で埋まっている。世界各地を移動しながら、現地で、CMの打合せや撮影、スポンサーがらみの案件などビジネスが常にセットされていて、大企業の経営者以上に厳しいスケジュールをこなしている。テニスをやっている時間あるのか心配になるほど。
クーヨン・クラシック参加をキャンセルしたフェデラーだが、代わりにメルボルン市内で、チョコレートメーカーのセレモニーに参加している。家族と過す時間以外は、仕事していると言っていいほどのタイトなスケジュールに驚く。
たくさんの作業を平行して効率的に進める背景には、マネージング・チームの存在が浮かび上がる。筆頭マネージャーを中心にして数名のサブマネージャーで統括する。もちろんそれぞれの選手が所属する会社の本部事務所でもマネージングするが、グランドスラム4大大会を中心にして世界中のテニス大会へ常に移動を続けるトップ選手と同行するマネージング・チームの作業も欠かせない。
トップ選手が宿泊するメルボルンの5つ星ホテルの商談室やビジネスセンターではトップ選手たちのマネージング・チームが忙しく活動している様子が垣間見られる。どこのホテルに宿泊しているかは、セキュリティー上、明らかにはされないが、伝統的にグランドハイアット、ソフィテル、ウェスティンのメルボルンホテル御三家に絞られる。

世界のトッププレーヤーが時間単位で過酷なビジネススケジュールをこなしながらも、体調管理を行いグランドスラムに挑んでいる姿が理解いただけると思う。
のグランドスラムのスタートを切ってオーストラリアン・オープンが開催されたが、その期間中、当地オーストラリアでは、ワールドカップ構想の話題で沸いた。 
オーストラリアン・オープンの開催地メルボルン・パークの再開発と併せて紹介する。。



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