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テニス 2011

錦織圭 世界No1ジョコビッチを破る

メルボルン百景トップ

2011年11月7日(火)
錦織圭
オーストラリアン オープン 2012
Australian Open Tennis
メルボルンパーク Melbourne Park
メルボルン Melbourne
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錦織圭(ソニー 21歳)がスイス・インドア大会で世界No1のノバク・ジョコビッチを撃破し、日本テニス界の歴史に残る大金星を挙げた。
2012年オーストラリアン・オープンでの活躍が期待される錦織の成長を追った。

撮影データ Canon EOS 5D MarkUプログラムAE 絞りF5.6 1/200秒 評価測光 ISO感度 100 露出補正AWB JPG レンズ EF 24-70mm f/2.8L USM 撮影:板屋雅博
撮影:2011年オーストラリアンオープン

1992年に松岡修造が当時の世界ランク2位のステファン・エドベリ(スウェーデン)を破っているが、世界1位を倒したことをはこれが初めて。

ATP男子プロテニス・ワールドツアーのスイス・インドア大会は、11月にスイス・バーゼル市で行われた。この大会は、男子プロテニス協会ATPのカテゴリー500クラスに属する。テニストーナメントは、グランドスラム4大大会を頂点として、ATPワールドツアー・ファイナル、マスターズ1000(9試合)、カテゴリー500(11試合)、カテゴリー250(40試合)などがある。
上位の大会ほど獲得ポイントが高い。

10月31日付けATPランキング32位の錦織は、スイス・インドア大会のワイルドカード(主催者推薦)で出場し、1回戦で世界7位のトマス・ベルディフ(チェコ)を6−3、3−6、2−6の逆転勝ち、エンジンのかかりが遅い錦織らしく後半に勢いを増している。2回戦では、世界50
アンドレア・セッピ(イタリア)を6−3、7−6で一蹴。3回戦の順々決勝では、格下のミハイル・ククシュキンの強打に苦しんだが、
6−4、5−7、6−4で破った。

 準決勝の相手は、現在ATP世界ランキングNo1のノバク・ジョコビッチ(セルビア 24歳)。ジョコビッチは、2011年のグランドスラム4大大会のうち、全豪、全英、全米と3試合に優勝。全仏に優勝したラファエル・ナダル(スペイン)を3000ポイント以上も引き離して現在、最強のチャンピオンだ。
錦織は昨年の全仏オープンでジョコビッチにストレート負けしている。
錦織も「ジョコビッチのテニスは、別のレベルにいる」敬意を評しているが、「全力で勝ちに行く」とも強気の発言もしている。

スロースターターの錦織は、この試合でも第一セットを2−6と簡単に落とした。
ファーストサーブが4本に1本しか入らず、強打のジョコビッチに圧倒された。

以前の錦織ならば、このままずるずると引き下がるところだが、現在の錦織のレベルは、世界ランキングトップ10以内に肉薄するレベル。
第二セットは、逆に7−6で競り勝った。
ジョコビッチのパワーに徐々に慣れていき、後半からは、逆にストロークプレーでジョコビッチを圧倒.。最後は、タイブレークからついに逆転して第二セットをもぎ取った。

第三セットは、なんとジョコビッチから6−0のストレート勝ち。サーブ、ストロークともにジョコビッチを圧倒。今年3敗しかしていない偉大な王者に対して格下の相手に対するがごとく、わずか27分間で打ちのめした。錦織は、これでジョコビッチとの対戦成績を一勝一敗の五分とした。

 
決勝では、錦織が対戦を熱望していた昨年までの世界王者フェデラーと対戦。世界ランク4位と昨年までの勢いはないが、バランスの取れた老練のオールラウンドプレヤーだけに、勢いに乗る錦織といえどもそう簡単に敗れる相手ではない。1−6、3−6で完敗。世界のトップクラスの層の厚さを見せつけられた。錦織は、かつてフェデラーの練習相手を務めたことがあり、いわば尊敬する師匠にあたる。
フェデラーも、錦織が強くなっていることに対して賞賛の言葉を送った。

 
錦織は、今年10月に行われたATPワールドツアー・ファイナル、カテゴリー1000に属する上海オープンの2回戦で世界ランク8位のジョー・ウィルフリード・ツォンガを2−1で撃破。3回戦では、世界48位のサンチアゴ・ジラルドを破っている。この2戦の獲得ポイントの結果、これまで日本人男子最高位であった松岡修造の46位を抜いて、30位にアップしている。
スイス・インドア大会決勝進出で、ボーナスポイントも獲得する為、次回のランキング発表では、大きく順位を上げることが予想される。
 
今年の錦織は、目覚しい勢いで進化している。中でもアンドレ・アガシやアンディ・マリーのコーチとして名高いブラッド・ギルバートを今年の全豪オープンの少し前からトラベリングコーチとしてツアーに帯同。サーブ、ネットプレーなどを改造。より積極的なスタイルに変化させた。全豪オープンでは、錦織自身、初めて1回戦を突破。2回戦も勝って、日本男子では46年ぶりの3回戦進出を果たした。
錦織へのインタビューで、「ギルバートコーチとの関係はうまく行っている。高いレベルのテニスへ向かっている。」と述べている。


 
2月中旬には、世界ランク68位まで上がってきた。
世界ランキングが低いと、4大大会などで1回戦からフェデラー、ナダル、ジョコビッチなど最高峰クラスと激突することになり、当然、勝てないので、ポイントを稼ぐことができないということになる。できるだけランキングを上げることが、更に上位へ行く絶対条件となるのだ。

3月にアメリカ・マイアミで行われたソニー・エリクソン・オープンでは、1回戦に勝って、自身、マスターズ1000クラスの初勝利を挙げた。4月には、全米クレーコート選手権では準優勝し、着々と獲得ポインを上げていき、自身の最高ランク47位まで挙げた。
松岡修造が持つ、日本人最高ランク46位まで僅差に近づいた。

 
11月7日発表のランキングでは世界24位と日本人前人未踏の20位台に突入した。
今後の大会いかんでは、10位台も手にすることができるかもしれない。

そうなると楽しみなのは、2012年のオーストラリアオープンだ。
これまでの数箇月で、1位ジョコビッチ、7位のベルディフ、8位ツォンガを破っており、その勝利が決してフロックではなかったことは明らであり、現在の調子からするとその実力は世界ランク10位前後と云っても過言ではない。



4大大会グランドスラムで優勝する実力は、正直なところまだ無い。
しかし錦織がオーストラリアン・オープンの台風の目になることは十分に予想される。世界の上位ランクの選手を次々に撃破している若い錦織の活躍の姿をぜひ見てみたい。

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