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Cエリザベス〜スペンサー

オールダーフリートビル群 Olderfleet Buldings

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2012年10月8日(月)
オールダーフリートビル群 Olderfleet Buldings
コリンズ通り Collins Street
メルボルン Melbourne
この場所の地図Google Map

コリンズ通りに沿ってウィリアム通りからスペンサーへ向かって歩くとビクトリア時代の美しい一連の建物がある。オールドルリートの建物群である。
マーベラスメルボルンと云われた繁栄の時代を、市内で最も感じることができるのが、このビル群。

 オールダーフリートビル群 Olderfleet
は、3つのビルに分かれる。
コリンズ通りに沿って西側からオールダーフリートビル、レコードチャンバース、サウスオーストラリア保険ビル。その右側には、リアルトビル、ウィンフィールドも含めて5つのビクトリア時代の豪商たちの建築物が並ぶこの通りは、メルボルンの中でもマーベラスメルボルンと呼ばれた時代を良く残している。東端のオールダーフリートと西端のリアルトビルは天才ウィリアムピットの作品。
1880年−1890年の後期ビクトリア時代(フェデレーション期)は、1901年にメルボルンが豪州連邦の首都に成らんとする栄光の時代であった。
当時のメルボルンの持っていた豪華華麗な美意識や、躍動感を5つの建物から感じることが出来る。


  オールダーフリートビル Olderfleet Bulding
建築年:1888年−1889年   
場所: 471−477 Collins Street
設計:ウィリアムピット William Pitt
建築時代:ビクトリア Victoria
建築様式:ネオゴシック Neo-Gothic フリーゴシック Free Gothic、ベネチアンゴシック
階層:5階
登録:ビクトリア州遺産 Victorian Heritage Register


 メルボルンの天才建築家ウィリアムピットは、ゴシック建築を得意としている。
 パリのノートルダム寺院やミラノのドゥオーモに代表される華美で絢爛な装飾を施した作品を多く、メルボルンに残している。
オールダーフリートビルは、1870年代にメルボルンで流行したベネチアンゴシックを取り入れている。
比較的低層の建物を、華麗な装飾や、屋根の時計台により大きく見せている。
極端に詳細までこだわって作られた細部は、煉瓦、鋳物細工、スチール、石材のみごとな組み合わせによって実現している。


幅が狭いアーチのついた窓の連続、大理石の円柱、角柱、石の階段支柱、多彩な煉瓦、窓と玄関の周りのモザイクなどウィリアムピットが得意とする建築スタイルがオールダーフリートビルでも随所に生かされている。

オールダーフリートビルに連らなる4階建てのベネチアンゴシックの建物が、かつては南側のフリンダースレーンまで続いていた。
フリンダースレーン側が玄関で、羊毛製品保管用の倉庫や、事務所ビルであった。
また屋根には時計台を持つ建築物だったが、1984年に惜しくも解体されて近代ビルとなっている。


 正面のファサードは、玄関部分、2階、3階の事務所部分、屋根部屋から時計タワーの3つの部分に分けられる。
時計タワーは、同じウィリアムピット作の証券取引所ビルの時計タワーと似ているが、より大きく精巧に出来ている。
主にレンガを構造材に使い、セメントで表面化粧をしている。1階の床材、玄関横の円柱などは、大理石を使用している。



 複雑で一種、独特な雰囲気を持つ時計塔が見る人を圧倒する。
最初のテナントは、ウィンフィールドビルと同様に羊毛関係の事務所。
施主は、当時の著名ビジネスマンであったP.K.MacCaughan。
羊毛輸出産業は、当時の豪州経済にとって重要な外貨獲得源であった。
羊毛ブローカー協会 Woolbrokers Association、羊毛商社協会 Wool Merchandising Organisations

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レコードチャンバースビル Record Chambers
建築年:1887年   
場所:479−481 Collins Street
地図:Google Map
設計:J.A.B Koch
建築時代:ビクトリア Victorian
建築様式:クラシカル(Classical Style)  Free Classicalとも云う。
登録:ビクトリア州遺産 Victorian Heritage Register

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 レコードチャンバースビルは、この5つの建物の中では最も古く1887年に建設されている。他の4つの建物も数年以内に建築されいる。当時のメルボルンが如何に資金が豊富で、かつ先行きの展望が明るい時代であった。また建築スタイルもそれぞれの個性を生かしながら、全体としては調和が取れている。隣の建物とまったく隙間が無く建築されている、メルボルンの中心地では土地の値段が高く、空間を空ける余裕は無かった。メルボルンは、1851年にゴールドラッシュが始まってから本格的な街づくりが進んだが、わずか40年で中心部の目抜き通り沿いには、もはや土地の余裕なかった。


 レコードチャンバースビル 
Record Chambers
レコードチャンバースビルの1階には3つの建物を総称してOlderfleet Buldingsの名前が入っている。
レコードチャンバースビルの施主は、金融業界及び資産家、投資家向けの雑誌を発行する出版社のMcCarron, Bird & Co 社。
1872年に創業した出版社でフリンダースレーンウェストに所在していた。
豪州の保険、金融業界の雑誌として著名なものは、同社が1872年に開始したAustralasian Insurance and Banking Record。
そのほかにも、『d Alexander Sutherland's Victoria and Its Metropolis (1888)』(1888), 『Australasian Trade Review 』、『Manufacturer's Journal』、『 Australian Brewers' Journal and Temperance News』などがある。


OF70 レコードチャンバースビル Record Chambers
各階は、円柱によって支えられた4つの張り出し窓(Bay)によって構成されている。
中央のふたつの張り出し窓は若干、コリンズ通りに向って張り出している。
三階部分の円柱の台座には女性像が彫りこんである。
二階、三階のゆったりとした大きな窓のアーチは、四階の8個の急なカーブの窓と対称を構成している。

ビルの一番上の部分に『Record Chambers』の文字が入っているが、これは広告の意味があった。
レコードチャンバースビルの正面ファサードは、1880年代にメルボルンで流行したフリークラシカルの代表作。左隣のウィリアムピットのゴシック建築と比べると、ゆったりとしている。

 三階のひさし部分には、三角形の冠状の装飾がある。
この冠状のひさしは、メルボルンではほとんど無い。
設計家 J.A.B Kochが伝統的なクラシカルに独自のアイデアを加えて独創的なフリークラシカルに仕上げている。
最上部のコーニス(特出したひさし部)には欄干(balustraded parapet)があり、4つのつぼ(Urns)が装飾されている。




 南豪州保険ビル South Australian Insurance Building
建築年:1888年   
場所:483−485 Collins Street
設計:Oakden, Addison & Kemp  
建築:C Butler
建築時代:ビクトリアン
建築様式:ゴシック (Gothic) フリーゴシック Free Gothic 階層:5階
登録:ビクトリア州遺産 Victorian Heritage Register

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 南豪州保険ビルは、ニュージーランド保険会社(New Zealand Insurance Company )メルボルン支店の為に建設された。しかし実際には南豪州保険会社がテナントとして長い間、入っていたので、名前もSouth Australian Insurance Buildingとして定着した。
ニュージーランド保険会社は、1859年にオークランドに設立され、1888年までに多くの支店を世界中に出している。
1800年代後半は、ゴールドラッシュによる富のメルボルンへの集中と、メルボルンが豪州No1都市となった時代。豪華絢爛なゴシック建築が市内に争って建設された。
その中でも南豪州保険ビルは、1870年代にメルボルンで流行したベネチアンゴシックの代表作。


 それぞれの階層によって、高さや窓の数、装飾が違っている。最上階のアーケード(アーチを多様した飾り窓)や屋上の屋根窓(Dormer Window)。1階には、玄関とふたつの窓の計3つの大きなアーチがあり、それぞれスコットランド産の大理石を円柱に使用し、台座には、ビクトリアMalmsbury産ブルーストーンを使用。2階にも丁寧に研磨された大理石の円柱を使用。3階には、12個の円柱を使用してアーケード。昔は、屋根の欄干部に怪獣像(Gargoyles)があったが、現在は取り除かれている。


高価な輸入大理石をふんだんに利用しており、当時のメルボルンの豪商の財力がわかる。各建物を比べると、施主や建築家の自由な意図や、よりオリジナル性の強い建物に作り上げたいという意図が設計に色濃く反映されている。


 Olderfleet Buildings
 公式Web    Wikipedia(William Pitt)

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