シティ案内

今日の一枚へ

Shrine of Remembrance 

戦争慰霊聖廟 Shrine of Remembrance 

メルボルン百景トップ

セントキルダ通り

建築史1920-29

2016年9月11日(日)
戦争慰霊聖廟 Shrine of Remembrance 
セントキルダ通り St Kilda Street
メルボルン Melbourne 
この場所の地図 Google Map

メルボルンの広い地域から見える戦争慰霊聖廟は第一次大戦の戦死者を慰霊するための記念碑だが、建設までには多くの議論を呼んで長い時間がかかった。最後に決めたのはモナッシュ大学に名を残すジョン・モナッシュ将軍であった。

撮影データ Canon EOS 5DMarkU 絞り優先AE 評価測光 絞りF3.2 1/2000秒 ISO感度 100 露出補正 太陽光 JPG レンズ EF 24−70mm f/2.8L USM 2016年1月17日16:58 板屋雅博 撮影

  戦争慰霊聖廟は、第一次世界大戦で戦死した軍人や民間人を顕彰するために建設されたが、現在は全ての戦争に関する顕彰館である。4月25日のANZAC DAYと11月11日の戦争顕彰碑に一般公開される。豪州でも最大規模の施設である。
設計は、第一次大戦退役軍人であるメルボルンの建築家Phillip HudsonとJames Wardropである。クラシカルスタイル様式。ギリシャのハリカルナッソス(Halicarnassus)のモーソラス(Mausolus)の霊廟やアテネのパンテオン霊廟をモデルに作られた。ジグラット(ピラミッド型の神殿)屋根の要素は、ギリシャのリュシクラテスの優勝記念モニュメント(Choragic Monument of Lysicrates.)に由来する。11月11日の午前11時に太陽光線が屋根を通して内部に到達して「Love」の文字を映し出す。

 礼拝堂の真下には地下室があり、銅製の彫像があり豪州軍隊の各部隊ごとにリストがあり、亡くなった軍人の名前が記されている。
1918年に第一次大戦が終了すると直ぐにビクトリア州政府は サーボールドウィン・スペンサー(Sir Baldwin Spencer)を委員長とする記念館建設委員会を設置した。委員会はセントキルダ道路に戦勝アーチを提案した。
推進を早める為に1921年には豪州軍将軍のサージョン・モナッシュを委員長とする上級委員会も設けられた。上級委員会は戦勝アーチ案を否決して、セントキルダ道路の東側に市内中央部からはっきり見えるような巨大な慰霊堂を計画した。
1922年に設計コンペが行われ、豪州国民と英国国民が参加資格であった。83件の応募があり一等が発表され、Phillip HudsonとJames Wardropが獲得した。


 アーガス紙、シドニー大学建築学部、豪州建築家協会などが賛成した。一方で重すぎ堅すぎて優雅さが無い、芸術的ではない、憂鬱の墓である、資金がかかりすぎるなどの理由でジャーナリストのキース・マードック(メディア王ルパーと・マードックの父)が主宰するヘラルド紙が反対を主張して、政府にやり直しを主張した。ヘラルド紙は、病院や寡婦の施設などの実用的な目的に資金を充てるべきであるなどのキャンペーンを張った。キリスト教会も十字の印やキリストのイメージが無いと反対した。
すったもんだで5年以上遅れ、政府も労働党から保守党へ変わった。やむなく一時しのぎの木製の神殿が1926年に建てられた。ウィンザーホテルを取り壊して、巨大なAnzac広場を州議事堂前に作る案も出て、ヘラルド紙やメルボルン市議会などが支持した。

 モナッシュ委員長や退役軍人会は神殿案を支持していた。上部委員会の採択を経て、退役軍人会は一般の支持を得るキャンペーンを行った。1927年ヨーク侯爵アルバート王子が豪州訪問をされた際に、モナッシュはAnzac Day退役軍人会ディナーの際に、神殿建設に賛成する見事な演説を行った。翌日のAnzac Dayではモナッシュは3万人の退役軍人たちを引いてマーチを行った。ジエイジ紙、アーガス紙は賛意を表明し、一般にも大きな支持を得た。新しい労働党政府もモナッシュを支持してやっと実行が決まった。

礎石は1927年11月11日に置かれた。聖廟は1934年11月11日に開廟した。


 戦争慰霊聖廟 Shrine of Remembrance
住所:2-42 Domain Road
建築:1927 - 1934
建築家:Phillip Hudson、James Wardrop
建築目的:モニュメント
建築時期:両大戦期 Interwar
建築様式:アカデミック・クラシカル
階数:2階建て

 Shrine of Remembrance

Onmydoorstep

Walking Melbourene

このページのトップへ

inserted by FC2 system