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サウスバンク

ジョーンズボンドストア Jones Bond Store

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2015年8月1日(土)
ジョーンズボンドストア(保税倉庫)
Jones Bond Store
サウスバンク Southbank
メルボルン Melbourne
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サウスバンクの超高層ビル群(ユーレカタワー、フレッシュウォータープレイス、PWCビル)の間にジョーンズ保税倉庫がある。5階建てと倉庫としては高層であり、世界最先端の水圧式エレベーターを設置した投資の最新鋭の港湾輸出入製品倉庫であった。

撮影データ Canon EOS 5D 絞り優先AE 評価測光 絞り 4.0 1600/秒 ISO感度 250 露出補正 -1/3 オート JPG レンズ EF 24-70mm f/2.8L /USM 撮影:板屋雅博 撮影2015年1月18日15:42


 ジョーンズ保税倉庫は、巨大な複合倉庫ビルである。最初の建築は1865年頃で、現存している歴史遺産登録ビルは、B倉庫、C倉庫と11番建物であり、これらの建物群は1888年頃の建築と思われる。
B倉庫、C倉庫はイギリス型煉瓦積(煉瓦を長手だけの段、小口だけの段と一段おきに積む方式)の煉瓦ワークに鋳物製の円柱、木製の床、屋根は三角形のトラス構造となている。五階建ての建物は持ち送り(コーベル)構造で組まれた5本の煉瓦の細い帯で1段に線引きされている。窓の上部の形状はアーチ状の窓と、フラットな窓があり、各階で異なっている。

建築年:1888年に建築開始。
建築様式:ロマネスク

 最上階中央部に設けられた円形の天窓はクリーム色の煉瓦で囲まれており、4隅に石を置かれている。11番建物は煉瓦に加えて高価なブルーストーンで建築されており、角度が浅い切り妻屋根を持っている。ジョーンズ保税倉庫は19世紀に建築され現存する倉庫コンプレックスとしては最大級の建物である。サウスバンク地区はメルボルンの初期の時代には港湾海運地区であったが、ジョーンズ保税倉庫は輸出入と密接に関係していた。ジョーンズ保税倉庫は1800年代後半の倉庫の形態を示す歴史的な遺産であり、ヤラ川河畔が港湾ビジネスに活発に使われていたことを示している。初期の時代には保税倉庫と港湾施設は都市の中心部で活躍していたが、20世紀に入りコンテナ船と大量輸送の時代が訪れて専門的な施設が必要になりヤラ川の周辺からは港湾施設は無くなっていった。



 単純だが実用的なビルの仕様はゴールドラッシュ期を引き継ぐ時代にメルボルンが港湾都市として急速に成長した様子を反映している。
ジョーンズ保税倉庫は、様々な当時の最新技術をビルデザインに導入している。電気が無い時代に多層階の倉庫はどうやって製品を上部まで配送したのかという問題があるが、1880年代に水圧式のエレベーター(hydraulic lift)が取り入れられていた。1800年代初頭に水圧式エレベーターが発明され、1835年に蒸気機関を動力としたエレベーターが開発され、1840年代には欧米の工場はホテルで利用が広がった。しかし速度が遅く安全面でも問題があった。1850年代にアメリカのエリシャ・オーチスが落下防止装置を付けた蒸気エレベーターを開発している。

エレベーター

 1859年オーチスがNYのホテルで世界初の実用的エレベーターを設置。
1861年オーチスは蒸気エレベーターの特許を取り、オーチスエレベーター社を設立。
1889年パリのエッフェル塔に水圧式エレベーターが設置。
1889年オーチス社は電動エレベーターを開発。NYの高層ビルに世界初で設置。NYの摩天楼ブームが始まる。
1890年に浅草凌雲閣に日本初の電動エレベーターが設置されたが、故障が多く、撤去された。

ジョーンズ保税倉庫の水圧式エレベーターとホイストは世界的に見てもかなり早い時期のものであり、1892年にメルボルンの電力供給が始まる以前に水圧式機械が取り入れられていたことは歴史的に意義深い。

  非常に良い状態で維持されている倉庫群は4つの煉瓦製建築物と舗装された中庭で構成されている。5階建ての倉庫は1887年に建設され水圧式エレベーターとホイストクレーンを装備して実際に使用されていた。ビクトリア州でも1800年代の多層式倉庫で現存しているものは数少ない。


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