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アルカストンハウス Alcaston House

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2019年7月13日(日)
アルカストンハウス
Alcaston House
スプリング通り
Sprinngu Street
メルボルン Melbourne
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アルカストンハウスは、コリンズ通りとの交差点の北西部に立っており、対面する旧財務省ビルや州議事堂、ホテルウィンザーなどと共にスプリング通りの重要な景観を構成している。

撮影データ Canon EOS 5D MarkU 絞り優先AE 評価測光 1/400 F8.0 ISO感度 100 太陽光 露出補正 JPG レンズ EF 24-70mm f/2.8L USM 2017年1月16日8:44 板屋雅博撮影

アルカストンハウスは、AKヘンダーソン設計事務所のデザインで、 T Donald and Co社の施工で1929年から1930年に建設された。それまでこの場所を所有し、住んでいたDr. EM Jamesの会社が施主である。 アルカストンハウスは、地上7階、地下1階の建物で強化コンクリートの柱(columns)、はり( beams)で作られ、床は、フリーストーン(freestone、砂岩・石灰岩など)が使用され、壁はレンガ製、砂で施した化粧しっくい(stucco)が全体に使用されている。全ての窓には鋼鉄製のフレームが使用され、1階の窓は、騒音の侵入を防ぐために二重ガラスが嵌められている。




 法律家や政治家の事務所が多いコリンズ通りのプロフェッショナルな雰囲気に合わせて1階と2階は素朴な( rusticated)デザインが採用されている。
上部階は、E文字のデザインが採用され、スプリング通りに向かって、光庭(light wells)が作られ、奥側の部屋にも太陽光が採光できる。光庭構造は、機能的であり、建物の上層階が住居であることを強調している。各フロアのバルコニーはフランス式で作られており、住居であることがわかる。



  E文字構造の為、3つのタワーになっているが、各タワーは、深い蛇腹(◆壁または柱で支えられた水平材を飾る帯)と高い複層式煙突が特徴的である。ファサードの低層階で特徴的なのは、1階部分の半円アーチ形窓であり、様式化された(stylised)迫石(voussoirs)が置かれ、彫刻された(carved)要石(key-stones)、山形文様(chevron)文様の 水平方向への仕切り段(string course)、スプリング通り側入り口にある方持ち式(cantilevered)、天蓋(canopy)などである。


  アルカストンハウスは、ルネッサンスリバイバル様式と近代的な建築構造が採用されている点が建築学的が特徴的である。田舎風質素なデザインと丸い上部の窓、ビルの色使い、政治経済的に重要な地区の他のビル、特に目の前の旧財務省ビルとも補完的な雰囲気を保っている。建物が3つのタワーで成り立っており、住居アパートの為の採光構造と共に、巨大ビルの重い印象を軽くしている。
コリンズ通り側ファサードは、金具で捕りつけた( bracketed)ドア上部の飾り(overdoors)、要石にAesculapius(神話のアイスクラーピウス、薬方の神) and Hygeia(健康の化身)が刻まれている。これは、アルカストンハウスが法律家、政治家の事務所への入り口であることを反映している。

 スプリング通り側のファサードは住居階への入り口がある。集合式煙突、E文字形状、印象深い英国邸宅様式などが特徴である。アルカストンハウスは成功した建築学上の傑作というだけでなく、旧財務省地区や、コリンズ通りの景観に重要な構成要素となっている。アルカストンハウスはメルボルンの都心部に位置する初期高層階アパートとして非常に重要である。第一次大戦後のヨーロッパやアメリカでアパートでの生活が流行したが、オーストラリアにも流行が到達した明確な実例である。法律家や政治家だけでなく、メディカルクリニックとしても重要な意味がある。

 アルカストンハウス Alcaston House
住所:2 Collins Street, 69−83 Spring Street
建築:1929−1930
設計: A & K Henderson
施工:T. Donald and Co
建築期:インターウォー両大戦期
建築様式:クラシカル、ルネッサンスリバイバル
階層:8階
用途:アパートメント
現在の用途:事務所、アパートメント
建材:強化コンクリート
施主:Dr. E.M. James

Walking Melbourne ナショナルトラスト 

ビクトリア州遺産
A & K Hendersonの作品
旧オーストラレイジア銀行本店

T&G ビル

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