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旧メルボルン税関 Melbourne Customs

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 メルボルンの産業史 港湾

メルボルン建築史1870-79

2017年3月4(日)
旧メルボルン税関 Melbourne Customs
フリンダース通り
Flinders Street
メルボルン Melbourne
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メルボルン発祥の地エリザベスワーフから直ぐの場所にメルボルン税関がある。メルボルン最初の港湾地域の最も重要な政府施設であった。現在は、移民博物館となっている。

撮影データ Cann EOS 5D MarkU絞り優先AE 評価測光 1/320 絞りF8.0 ISO感度 100 露出補正 オート JPG レンズ EF 24-70mm f/2.8L 2017年1月16日9:53 撮影:板屋雅博

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 旧メルボルン税関は、1856年から58年にかけて第一期工事があり、その後1873年から76年に第二期工事があった。一期工事のデザインは、ナイト&カーの建築家が行い、2期工事はジョンソン、クラーク、カーの建築家が行った。2期工事では一期の建物を内部に取り込んで一回り大きな建物となった。いずれも植民地政府公共建築局の建築家である。3階建て化粧煉瓦を使い、基礎部分にはメルボルン産のブルーストーンが使われている。
正面ファサードの1階部分はだいぶ古めかしくなっているが、二階、三階部分はシンプルなコーニスが外部に突き出る形で建物の外周を取り巻いている。
入口部分には階段があり、エントランス上部には二階、三階を通して巨大な4本のイオニア式円柱そびえている。建物はブルーストーン製の柱と土台の上に美しい鋳物鉄のフェンスが取り巻いている。

 旧メルボルン税関は、1965年に連邦政府国会事務所に転用された。更に1998年に移民博物館となった。メルボルン税関は、メルボルン最初の港があった場所(エリザベスワーフ)からほど近い場所に作られた。ゴールドラッシュによる金塊や、羊毛の輸出、欧米からの大量の物資の輸入などで貿易が拡大した証拠でもある。
ゴールラッシュの後、成長し拡大する富裕な社会階層の需要によって作り出された自国産業を育成しようという要望が強まり、ビクトリアは保護主義貿易を主張するようになった。保護主義は、輸入品への関税の強化となって現れた。税関を植民地経済の統制と開発への手段として利用した。荘厳で華々しい印象のメルボルン税関は、その重大な役割を反映したものであった。1901年の連邦政府成立後は、NSW州が自由貿易を主張したことを例外として、総じて豪州は保護貿易へと向かった。メルボルン税関は、連邦政府税関当局の総本部となった。首都がメルボルンになった為に当然ではあったが、経済的な実力的にもメルボルンがシドニーを圧倒していた。

 メルボルン税関の立地は、メルボルンの初期の港湾施設と関係があった。1800年代には港湾はヤラ川上流側にあったが、税関のすぐ東側ヤラ川河畔にあるバナナアレイは当時の港湾施設の名残である。税関のすぐ前のヤラ川は遡ってきた大型船が荷役を終えて、河口を目指す際に回頭する場所(turning basin)であった。メルボルン税関、バナナアレイ倉庫群、ウォーターサイドホテルなどはヤラ川の北側ノースバンクがかつてメルボルンの活気ある海運港湾であった名残である。

 メルボルン税関は1860年代から1870年代のメルボルン政府建築物で流行したイタリアン・ルネッサンス様式、(ギリシャリバイバルの影響を持つ。)である。石材としっくいをうまく使用した職人技を随所に見ることが出来る。豪華に装飾されたロングルーム(Long Room)はフリンダース通りに面した南側のファサードに作り込まれたイオニア式巨大円柱とエンタブラチュア(円柱によって支えられる水平な部位)を映し出している。
鋳物鉄で出来たフェンスは、税関建物を3つの区域に分かれて取り囲んでいる。税関がある土地は、メルボルンが成立した1835年頃に将来の税関用地として準備されたものである。



 メルボルン税関は、Peter Kerr, Arthur E. Johnson and John J. Clarkというビクトリア植民地政府公共建築局の最も優秀で卓越した建築家によって設計された。急速に拡大するメルボルンに於いて公共建築局が果たした重要な役割が理解できる。

メルボルン税関 Melbourne Customs
住所:400 Flinders Street, Melbourne
建築年:1873年〜1876年
建築家:Peter Kerr, Arthur E. Johnson,John J. Clark
建築様式:イタリアン・ルネッサンス様式


手前の建物
ホーリーマンハウス

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