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メルボルン裁判所   Melbourne Law Courts

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ウィリアム通り

ロンズデール通り

A. E. Johnson

建築史1870-79


2017年10月22日(日)
メルボルン裁判所   
Melbourne Law Courts
ウィリアム通りとロンズデールの交差点
William Street & Lonsdale Street
メルボルン Melbourne
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メルボルン裁判所は、最高裁判所や控訴審などいくつかの裁判所の複合施設である。この区画1ブロックを全て使う壮大なプランが立てられ、1873年に建設コンペが行われた。現在でも1プランとしては豪州最大の裁判所である。

撮影データ Canon EOS 5DMarkU 絞り優先AE 評価測光 絞りF8.0 1/320秒 ISO感度 100 露出補正 太陽光 JPG レンズ EF 24−70mm f/2.8L USM 2017年1月21日16:47 板屋雅博 撮影


メルボルン裁判所は、最高裁判所図書館、控訴裁判所などの裁判所施設からなる複合裁判コンプレックスである。建設に際して1873年にコンペが実施され、建築家のAL SmithとAE Johnsonが受賞し、設計図を描いた。コンペの際にスキャンダルが起こった。AE Johnsonが選考委員会のメンバーでもあったためである。AE Johnsonは、政府公共建築局を退職してAL Smithと設計業務で長くパートナーとなった。
J J ClarkやP Kerなどのメルボルン建築界の大御所も詳細設計に参加し、建築を監督した。
メルボルン裁判所は、1874年から84年まで10年を費やして建設された。2階建て、マルコムベリー産ブルーストーンの礎石の上部にレンガ、表面化粧にはタスマニア産の砂岩を使用している。


裁判所が完成したのは、1884年2月である。建築計画では、メルボルン裁判所は、このブロック全体に及び、各1辺は85mの巨大な建築物群であった。設計は、アイルランドのダブリンにある建築家James Gandon設計のフォアコーツ(4つの裁判所)を基礎にしている。これは最高裁長官のSir William StawellがAL Smithに指示したものであった。四角形の敷地の各コーナーにひとつの裁判所ビルが建設され、現在は北と南の建物が現存している。現存する建物には総務事務所と裁判官用事務所が入居している。それぞれに円形の中庭がある。
ロンズデール通りから法廷中庭までアーケードになった馬車道が通っている。最高裁判所図書館にも法廷中庭が設置されている。美しいデザインは、ルネッサンス式クラシック調である。



1階、ピアノ・ノビーレ階(メインの階)、屋根裏階の3つのフロアに分かれるルネッサンス式大邸宅(palazzo)様式である。屋根の見えない部分に欄干が設置してある。ウィリアム通り側のセットバックした中央ベイは、イオニア式複合柱を持つ二重開口アーケードになっている。

メルボルン裁判所は、電気がない時代ではあるが、建物機構として最新式暖房や換気システムを取り入れている。暖房は、温水をパイプラインで循環させ、換気も自然循環方式により電力なしでシステムを運営していた。




大胆なプランニング、壮大さ、マンネリスト複合様式の詳細設計は、まさに建築家AE Johnsonの作品と云える。ベンチ、天井、裁判官席の天蓋、スギ材のパネルなど力強い詳細設計がなされている。メルボルン裁判所は、ひとつの設計計画で建築された豪州最大の裁判所建築群であり、豪州最大の建物である。1990年代にはいると豪州は不況期に入り、多くの建築計画は1900年まで凍結された。

メルボルン裁判所は、現在もビクトリア州の最高裁判所である。1901年に連邦政府が出来て以降は、枢密院裁判所が唯一の例外である。法と裁判所の関係は、制法会議と州議会の関係と同じである。




メルボルン裁判所  Melbourne Law Courts
住所:192-228 William Street
建築年:1874年から84年
建築家:AE Johnson & Alfred Smith
建築様式:ルネッサンス・リバイバル

Supreme Court of Victoria (wiki)

VHD  

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