収益不動産

不動産の鉄則  幸田昌則

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第一章 不動産の基本ルール
@不動産価格と賃料は、需要と供給のバランスで来まる。 余れば下がり、足りなければ上がる。

A超低金利は、買い時ではなく、売り時。
物件購入者が金利を少ししか払わずに済むために需要が膨らみ、高い価格でも売却できる環境にある。
金利が低下したので、不動者を購入しようと考えた時には、既に不動産価格は、割高になっている。 遊休不動産の売却には好都合な時期。

B最初に現れた買主が一番良い条件で買ってくれる客。不動産の基本中の基本。需給緩和の時代にはなおさら。

C利用価値が極めて高い優良不動産の売却を優先する。
デフレの時代には、時間のロスは資産のロス。価値は時間と共に低下する。

D物件に距離的に近い人ほど高い値段で買ってくれる。隣地は倍でも買え。中古マンションでも同様。

E購入する際は、売却することを考える。
デフレ下でも依然として人気があり高い価格の不動産がある理由。
その1 希少性 代わることがない良い場所である。
その2 収益性 賃貸収入が確実に見込める。
その3 担保力 金融機関からの借入。
その4 換金性 売却によって換金できうる。

F 買主から買いたいと云われれば高く売る。 売主から買って欲しいと云われれば安く買う。
判断の巧拙による結果は、天と地の差がある。売買のタイミングは難しい。
売買のタイミングをつかむには不動産状況を正確に知ること。トレンドを見ておくこと。
売り物件が多い時は価格は下落傾向。

G 売り出し価格あは、売主の希望価格。 売買交渉のスタート。 
過去の類似物件の成約価格や周辺の需給状況を調査、売主の事情を加味した、とりあえずの価格。
実際の成約価格とは異なる。
・購入価格よりも安く売却したくない。
・路線価以上で売りたい。
・直ぐに現金が欲しい。
最終的な取引価格は双方の需給関係によって決まる。
新築マンションの分譲価格は、ディベロッパーの売却希望価格。

H不動産は、保有しているだけで高いコストが掛かる。
所得時:登録免許税、売買仲介手数料、住宅ローンの借入費用など、売買価格の10%程度。総額で利回り計算をすること。
取得後の維持管理費用:固定資産税、都市計画税、地価税
ビル、アパートは老朽化する。改修、設備更新などの大きな費用が定期的にかかkる。

I住宅も中古は割安。
中古マンションの価格下落が進んでおり、今後も続く。
新築マンションの中古マンションに対するの価格割合は下がっている。地区によっては半値以下。
不況の長期化で遊休地が企業からも個人からも放出され、住宅用地の取得が容易。新築マンションの供給が都心部では続く。
マンションは、大幅な緩和時代で、価格下落は大きい。中古戸建ての新築に対する格段に安くなっている。
住宅の第一次取得者の多くが新築マンションや建売住宅を購入している。 超低金利と融資条件の緩和、現住居の家賃との比較で購入。
日本の中古住宅市場の規模は、全住宅の0.5%。米国の10分の一。

第二章 不動産で失敗する人
@ バブルピーク時の価格を基準に考える人。不動産価格の基準は?
その1 現在と将来の収益性。 将来リスクをどこまで見込むかで価格評価に差が出る。周辺の需給変化では、将来は供給過剰になる可能性。
自分に本当に必要なのものかという判断。
A 価格の長期下落を不況が原因と考える人。
不動産市場における地価、住宅価格、アパート、オフィス賃料の長期下落傾向は、本質的には日本の構造変化による。
少子化と人口減少。
B 新築住宅は若者と女性。
新築マンション、建売住宅購入者層の若年化が進んでいる。購入すれば資産ロスが発生する。
新築住宅は、最新設備、デザイン、中心部へ、駅近。
都心の高額マンションは、50歳以上の高年齢層が増えている。中古住宅、マンションは価格が急落して安くなり、購入年齢層が上昇。

C不動産はまだ不足しているという認識を変えられない人。
土地も住宅も世界でも珍しいほど余っている。
国有地が数多く残っている、相続で物納された土地の放出、企業も寮、社宅、グラウンド、工場跡地などの遊休地を積極的に市場へ投入。土地の供給は一貫して増加。
モノ余り時代で売り手市場から買い手市場へと大転換。実需の減少。
不足している不動産は、利用価値が高く、収益性が高い一部の希少性を持った不動産に限られる。代替のきくごく平凡な不動産は掃いて捨てるほどある。売りに出しても買い手が付かない。利便性や収益性のない不動産は、今や誰がババを引くのかというゲームの時代になっている。

Dデフレの時代に借金する怖さを感じない人。
モノに対する現金の価値は上昇。終身雇用制度や年功序列の給与制度は崩壊。
多額の借金の返済は、住宅購入者の長期にわたる安定した収入が前提。

E資産を守るため不動産の勉強をしなかった人。
不動産について学んでおくべきこと。
その1 情報収集で市場動向を知る。 戦う相手の動きに関する正確な情報の把握が一番重要。 市場動向の熟知がリスクを回避してチャンスをつかむ。
その物件が不動産市況全体の中でどんな位置づけになっているか。
土地や住宅の価格は、経済性合理性の枠の中にある。
ごく普通の経済的価値判断が出来る人には難しくない。
在庫数の増減をデータで、しかもトレンドでわかるもので見ておく。グラフで見ると理解しやすいし、正確な予測が可能になる。
情報の収集そのものが自分にとって勉強になる。

その2 不動産と金融の関係を知る。 不動産市況と金融情勢は、表裏一体であり、密接な関係がある。不動産売買には多額の資金需要が生まれる。
低金利では金融機関に預金しても利息がつかず、利回りが高い不動産へ投資している。
住宅、オフィス、店舗など不動産は、ある種の金融商品。

その3 地域の活力と人口の推移を知る。
地域の経済力、人口の増減、企業の事業所・工場の増減、など人・物・金・情報の集積度によって不動産価格は変動する。
集積度が高い地域が高値を維持。東京と地方の格差は広がる。
強い地域とは、上昇時には他の地域より高い上昇率、回復率を示し、下落時においては踏みとどまる。
人口増加が続く都市、地域は不動産の需要が強く価格水準も高い。人口減少が著しい過疎地では土地価格は下落し換金すら難しい。
不動産市況は地域の現在の力と将来の可能性を反映。

そお4 不動産取引も自己責任の自覚。
不動産購入には、慎重さを薄れさせ、感情を一時的に高ぶらせる。感覚が麻痺する。

F 出遅れた個人地主。
企業所有のオフィス賃料は、市場の需給を反映しているが、賃貸マンションの賃料は個人所有で空室は増加しているものの、あまり下がっていず高止まり。
賃貸マンションやアパートの家賃の値下がりはこれから。
現金化できない土地の地主は、資産価値がゼロの単なるスペースの所有者。

Gデフレ化でも変らない金融機関。
事業収益に重きを置いた融資に転換しようとする姿勢もみえる。実際には融資の際の担保には不動産が必要。
住宅ローンの返済ができない人が急増。住宅ローンの焦げ付き、個人破産が増加。
金融機関の融資に対する考え方は、インフレ時代と同じ。リゾート物件というだけで融資を拒否する金融機関が多い。

第三章 
@この10年間で二度の不動産バブルが発生。
1990年をピークとした不動産全体バブル。
1994年から97年まで続いた住宅バブル。 首都圏は、住宅減税、金融条件の緩和、都心回帰需要によってしたささえ。
この20年間で記録的な住宅供給をしてきた。
大量の新築マンション、建売住宅、新築住宅の建設が行われた。
中心部や駅から徒歩圏内の優良な土地は需要が高い。デベロッパー同士で競争して値を吊り上げ高値を維持した。

A不況と記入緩和が住宅の大量供給を実現。
デフレ下において企業は、地価の先安感と借金などの資金需要で遊休資産などを売却した。

B需要は都心へ回帰、郊外への需要は弱く。
都心部地価の下落、大企業の都心所有地の放出。都心へ。郊外は下落。
都心部のスーパーや食料品店が不足。高齢化社会により生活が便利な都心へ。福岡、札幌も同様。
オフィス市場も同様。本社を郊外へ移した企業も、再び都心へ。
日本の社会的、経済的構造変化と地価下落により住宅、オフィスの都心回帰は当分続く。

C住宅価格はまだ下がる。
利便性により厳しい選択が行われ、二極化が進行する。

D首都圏はこの10年間で3回のバブルを発生した。
首都圏では過去30年間で新築分譲マンション、建売住宅の供給量は未曾有の高水準。
94年にはバブル期に計画されたオフィスビルが竣工。オフィスの量的バブル。

E失われた十年ではなく、前進した10年。
土地をどう利用して収益を上げるか。新しいステージへ入った。

F供給過剰で価格と賃料は適正水準へ。
土地や住宅の価格調整は進んだが、アパートや賃貸マンションなどの家賃の相場はこれから。
賃貸市場の悪化が進行。超低金利を利用して賃貸から脱出によって空室が増え、賃貸の需給関係が悪化、賃料が下落。
今後は、所得水準や需給関係を反映した適性な賃料体系へ移行する。
中古マンションは手ごろ感がある水準まで下落。適正な価格へ。
東京都心部ではオフィス坪当たりの賃料が5−6万円から2万円程度へ下落。

G所有から利用価値への変化。
日本の不動産価格は、取引事例や類似の事例から売主と買主の事情によって双方の希望価格を調整して決まっていた。実際には売主の希望価格に沿う形で価格は決着。
個別の取引で経済的合理性を持った価格。土地単体での評価ではなく土地と建物が合体してどれほどの収益を上げるか。
不動産が有効に活用され収益性が安定的に確保されていれば、価値は低下しない。今後、一段と高い収益性が実現される場合は、高い価格が付く。

H需要と価格の二極化が顕著に。
価値があるものとないものに峻別される。同じ街でも二極化する。

第四章
@超金利と市場
その1 住宅資金の返済金の少なさが、住宅バブルを生んだ。購入後の資産ロスへの考慮は皆無。

その2 不動産投資を復活させた力。
オフィスの空室率は未曾有となり、予想した収益率を確保しているものは少ない。
その1 不動産価格が下落して、相対的に収益率が上がり、事業としての採算が合うようになった。
その2 投資家が、超低金利に嫌気が差して、銀行預金から不動産投資へ。また株式の低迷もある。
不動産は、安定した収入が見込める。金利が5%以上であれば、不動産に目を向けなかった。
投資家は、限定された地域で投資物件を求めている。都心部や駅に資金の便利な立地にこだわる。建物も古い物件を避け、築年数を指摘、建築業者にも注意するなど不動産を厳しく選別する。
投資のための資金調達。昔は金融機関からの借入であったが、今は自己資金が圧倒的に多い。
投資の目的:現在は不動産そのものからの安定した長期に渡る収入。土地だけは少なく土地と建物が合体したものが多い。

その3 金利がつかない預金より優良不動産を
現金で高級住宅地を購入。東京、京都、近郊リゾート。銀行に寝かせておきたくない。

A長引く不況が市場に及ぼした影響。
そお1 住宅とオフィスを大量に供給した。不況の進行により資金需要が高まり、手持ちの資産を現金化。工場用地に大型マンションやショッピングセンターを建設。
2003年に集中してオフィスが竣工。オフィスビルのオーナーの受難の時代。

A不動産の所有者が代わり、価格調整が進んだ。
戦後の農地改革以来の土地所有者の交代が進む。高度成長期には、個人から企業へ。個人の破産、企業の倒産が進む。競売市場、不良債権の処理が高水準。
オフィスビルや店舗のオーナーの交代劇が本格化する。オフィスビルは、収益の低下、維持管理費用、税金の負担が大きい。売り手市場から買い手市場へ。

B企業の不動産に対する考え方が変化。かつては土地本位制。資産重視よりもキャッシュフローへ。hんしゃビルを売却する艇も増加。会計ルールの変更により資産の圧縮。
資産の効率を高める。

第五章
@住宅余り。600万戸が人が住んでいない。空家数の:1位中央区、2位港区、5位千代田区、6位豊島区
郊外の空き家は更に増加。一方で住宅の供給意欲は続く。

A土地は消滅せず、増加する。
土地は余る時代へ。土地売却依頼は、急増。工業用地需要が急減。日本の土地は魅力を急速に失っている。
相続税が払えずに土地を物納する例が増え、国有化が進んでいる。

B社会構造の変化が需要を変えた。注文住宅は、120万戸から70万戸へ。人口の減少。世帯構成の変化。一人世帯が大幅に増加。二人世帯が大きな伸び。若い二人、老人夫婦。離婚の増加。母子家庭。一人世帯と二人世帯で53%。住居は戸建てではなく、アパート、マンションで十分。2DK。

C企業のグローバル化。中国アジアへ。
D 土地政策が価格下落へ拍車。
E土地神話への意識が変化。所有するより借りる方が有利。
F不動産価格下落の真因。
その1 不動産需給の変化。 希少性が大きく低下。
その2 不動産収益力の変化。
その3 担保評価が変化。 担保評価が減少し、返済能力が問われる。
その4 現金化できない不動産が増えた。
その5 節税効果が薄れてきた。実勢価格と課税評価額が格差がなくなり、逆転も見られる。

G 不動産も質が問われる。
その1 東京都心一等地は根強い需要。  商業地として採算が取れる。貴重な場所は、面ではなく点。 利用価値がある地点とそうでない地点の格差が鮮明に。
その2 都心回帰の動きが強まる。 
その3 質の高い一等地でも一段の調整が。 今後のオフィス需要の動向が大切。

H 郊外、地方の地主が没落する。 全国一律ではない。大都市、中心部への人口回帰。
東京の地価下落は依然として続いている。新規分譲マンションや建売住宅の大量供給で価格水準は更に低下している。

第六章 不動産新時代の対応策
@不動産市況より社会の変化を観察する。
人口移動動向。 首都圏、名古屋、滋賀、福岡、沖縄で人口増加。
A所有不動産の評価と整理。
量より質。質の高い物件を数少なく保有するようが効率が良い。利用価値が高くて収益を生む不動産を源泉して保有する。
Bまだ下落するを前提に考える。
不動産価格、賃料共には、更に下落が前提。反転値上がりするなどの期待での取引は危険が大きい。
C不動産は、必要な時に必要なだけを取得する。
店舗、オフィスの拡大、縮小、撤退などのリスクに備える。
D利用価値が高いものへ変化させる。
場所、場所、場所の世界。
E借金は控えめに。デフレの借金はただの借金。
土地の有効活用による収入には関心が集まる。 10%前後の利率で回るために魅力的な資産運用となる。借金さえなければ苦しむことは無い。
F不動産投資は、超低金利を前提としない。
金融全般を勉強してさまざまな情報を収集しておく。 金利の動向には十分な注意を払う。金利は絶えず変化。
借入時の金利水準を基に計算をするのは、危険。金利上昇も見込むこと。世界の環境変化は急激。シミュレーションは瞬時に崩れる。
超金利時代から高金利へ移行すれば、事業収支計画は覆される。リスク回避できる計画にすること。
過去の金利変動を研究するのはリスク回避に役立つ。
G空室問題の解決に用途転換を考える。
都心老朽化ビル→賃貸マンションへ。オフィス兼住居。賃貸オフィスを分譲マンションへ。社宅を老人ホームへ。小さな投資で済む。
商品価値を失った不動産を時代のニーズに合ったものへ再生する。地域の顧客のニーズを熟知するマーケティングに優れているかどうか。
建築にも造詣が深いエキスパートの助力を得る。
H不動産に関して信頼ができる相談相手を持つ。
その1 長期的な視点で社会、経済、市況の流れを汲み取り不動産価値を判断できる人。
その2 各分野に優れたネットワークを持っている人。一般住宅を扱っている不動産業者はオフィスビルを扱うことは無い。
税金の問題は重要。不動産の売買、相続による課税などは専門的な税の知識が必要。税理士と知り合うこと。節税効果、正確な知識と実践。
その3 人生のコンサルティングが出来る人。将来設計を提案できる能力を持った人。
I不動産の投資計画は10年を目安に。
不動産は、10年も建てば夏景色は冬景色へと激変する。

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