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ノースメルボルントップ

ノースメルボルン ケーブルトラム エンジンハウス

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2008年9月20日(土)
ノースメルボルン ケーブルトラム エンジンハウスNorth Melbourne Cable Tram Engine House
Queensberry Street とAbbotsford Street
ノースメルボルン North Melbourne
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ノースメルボルン エンジンハウスは、1890年から1936年まで46年間に渡り、ケーブルトラムのパワーを供給してきました。
この建物は、メルボルンケーブルトラム会社の建築主任Robert Gordonの設計によるものです。当時は、45mの煙突がそびえ立っていました。

2007年9月20日(A.C. Goode House

メルボルンケーブルトラム本社
Melbourne Omnibus & Tramway Building
こちらをまず読んでください。

 石炭をエネルギー源とする巨大なボイラーで水蒸気を発生させます。この水蒸気の圧力で水平に設置した1対の水蒸気エンジンを駆動させます。巨大な鋼鉄製フライホイールが回転します。このフライホイールでケーブルを回転させます。
鋼鉄製のケーブルは、英国や米国から輸入されたもので、7本の鋼鉄線をより合わせた構造で、直径が1インチ(2cm)、長さが約10kmと長大なものです。
強度は、1平方インチあたり90トンでした。

エンジンハウスは、路線の中で最も高台に位置しまたできるだけ路線の中央部に設置されました。水蒸気ボイラーの為に大量の水が必要ですが、必然的にヤラ川などからは遠くなるで水の供給に苦労しています。

  ケーブルトラムは、現在の電気式トラムとほぼ同じ路線を走っていました。道路にパイプを敷設してその中にケーブルを走らせます。ケーブルトラムがケーブルをつかんで走れるように、道路からパイプの上部は、切れ込みが入っています。
道路の交差点などではプーリーが埋め込んであり、ケーブルを回しますが、この際にケーブルに摩耗が発生しました。またケーブルカーがケーブルをつかんだり、離したりする際にも多大な摩耗が発生しています。このため『Mind the Curve』とう言葉が生まれています。
他の路線のケーブルと交差する交差点の手前で運転手はケーブルのグリップを離してケーブルトラムを惰性で交差点を通過させます。そしていったんトラムを停止させて、ケーブルをつかみました。常に回転を続けるケーブルをつかんで安全に運転するのは熟練した運転手だけができた仕事です。


  ケーブルは、1日のうち20時間は稼働していました。従って摩耗も激しく、寿命は、約1年でした。莫大な金額と輸送費をかけて輸入したのもなので、ケーブルトラムの運転とケーブルの検査には慎重を期しました。
また10kmもの長大なケーブルを取り変える作業もまたたいへんな人手と時間と資金を要しました。
ケーブルトラム路線のところどころに、エンジンハウスへの連絡場所が設けられており、運転手(Driver, Grip Man)は常にケーブルの状態を確認して異常があれば直ぐに連絡を取って、ケーブルの作動を停止してケーブルの点検、補修を行っています。

交差点などでゴングを鳴らすように規定があり、運転手が頻繁にならすゴングは、メルボルン名物となっていました。

 メルボルンには、17ルートのトラム路線があり、総延長距離は100kmを超えていました。ケーブルは常に一定の方向にしか走らないために、ひとつの道路には双方向の2本のケーブルが必要ですが、複数の路線があったために、ダブルトラックの路線は、総延長71kmでした。
12か所のエンジンハウスから、26本のケーブルが供給され592台のケーブルトラムを動かす世界最大にして最新鋭ののケーブルカーシステムでした。
ケーブルトラムは、運転手が乗るDummy Car(Grip Car, Tow Unit 16Feet, 3トン)と乗客が乗るTrailer Car(Saloon 22 Feet, 2.5トン)から成っています。
完全な人手(Grip Man)によるマニュアル操作で、レバーを押してケーブルをつかんだり、離したりして前進とストップを繰り返します。もちろんブレーキもあります。
客車の定員は、56名ですが、メルボルンカップやフットボールの大会の際には、屋根の上にまで乗客が乗っています。

Cable Tramways

 客車は、禁煙ですが、Dummy CarではOKだったので、男性喫煙客は、Dammy Carでたばこを吸っていました。客車にはガラス窓があり、雨の日などは女性、こどもが客車、男性は雨に打たれながらDammy Carに乗るのが礼儀でした。

マーベラスメルボルンと呼ばれた繁栄の時代を迎えますが、ケーブルトラムが重要な役割を果たしています。

このような世界最大のシステムを地球の反対側の英米から輸入して完成させたことは、メルボルンが世界で最も富裕な都市であったことを証明しています。

この訪れる人もほとんどない建物が栄光のメルボルンの証人です。現在はオフィスビルです。
ビクトリア州遺産 H0988
The Melbourne Tramways Trust

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