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トンプキンス兄弟

  フィッツロイ通り

カンタベリーマンション The Canterbury

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2015年7月18日(土)
カンタベリー マンション
The Canterbury
カンタベリー通り Canterbury Road
セントキルダ St Kilda
メルボルン Melbourne
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カンタベリーマンションはメルボルンの初期の複層集合住宅(アパート)である。各ユニットにキッチン、バスがある今では当たり前の設備が初めて装備された画期的なアパートであった。当時の著名建築家が最新の建築様式でデザインしたモダンな設計でこの地区のランドマークとなっている。

撮影データ Canon EOS 5DMarkU 絞り優先AE 評価測光 絞りF6.3 1 /800秒 ISO感度 200 露出補正 オート JPG レンズ EF 24−70mm f/2.8L USM 2015年1月24日13:19 板屋雅博 撮影

  カンタベリーマンション The Canterbury
住所:236 Canterbury Road St Kilda West
建築期:エドワーディアン
建築年:1914年
階数:4階
建築家:トンプキンス兄弟HW and FB Tompkins
施主(オーナー):Mrs Gurney
建築請負: W Picol (1914年)1階〜3階
最上階は、1919年に加えれた。
屋根の部分にあたる見晴らし台は3階部分にあったが、4階部分が加えられた際に最上階へ移動された。

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トンプキンス兄弟は、商業用途の建物のデザインが多いが、カンタベリーマンションは珍しい住宅建築である。

 当時としては必要な設備が整ったビクトリア州の最も初期のアパートのひとつである。多層階を持つアパートで各階に2戸のユニットがある。それまでメルボルンではもっと古いタイプのアメリカ式又は英国式のタイプのアパートはあったが、ホテルや寄宿舎に近い様式であった。近い実例としてはフィッツロイ通りのマジェスティックマンション(1912)が見られる。パントロード250番地のFawkner Mansions (1910年)はビクトリア州で最も早い時期のアパート建築である。バスルームは各戸にはなく共同で使う仕様であった。またキッチンを共同で使うアパートもあった。セントキルダ地区の近代的なアパートの建設ブームは1919年以降のことである。それまでの間は、ごく限られた数例があるだけである。カンタベリー邸の建築様式は、当時流行していた近代的で多様な様式の影響が見られる。クイーンアン、アメリカンロマネスク、アーツアンドクラフト、英国フリースタイルなどである。

 建物の主要部分は素朴な赤レンガと白く塗られたシックイで仕上げられている。窓枠もシンプルな木材を使用して、白いペンキを塗っている。窓のいくつかはステンドグラスを使用している。正面のファサードは角度をつけられている点も独特だが、、建物全体としては3つの主要な要素を持っている。ひとつめは素朴な赤レンガを表の境界線の部分から入口へ使った狭い通路。玉ねぎ状の屋根を持った突き出た5角形の尖塔、低いイオニア式柱で支えられた湾曲したコンクリート製のバルコニーなどである。木の葉文様が尖塔の三角小間と明り取りの窓を飾っている。

 カンタベリーマンションに続いて、同様の近代的なアパートが建てられた。

Southwold, 57 Acland Street (1915年)
327-328 Beaconsfield Parade (1915−16年)
ふたつとも建築家Klingender & Alsopのデザイン
Arts and Crafts様式。同様式はセントキルダ地区では第一次大戦後に流行した。

Langhamマンション 95 Grey Street (1919年)は3階建てで少し大きなアパートである。建築様式はエドワーディアンから両大戦期フリースタイルである。エキゾチックな城壁風屋根と屋上が特徴的で屋上を持ったアパートもカンタベリーマンションと翌年に出来るサマーランドマンションが初期のタイプである。これはセントキルダ市が集合住宅にオープンスペースを設けるように指導した結果であった。

左の画像をまっすぐ進むとメルボルンF1の第一ゲートがある。

 カンタベリーマンションは新しいタイプのアパートの先駆者であり、その後、セントキルダ地区では主流となっていった。人口密度が高く高層アパートが主流となるメルボルンの象徴ともなった。

Henry William TomkinsとFrank Beauchamp Tomkinsの兄弟の建築事務所は現代もTompkins Shaw and Evans Architectsとして活躍しており、MCGの南側大観客席(Great Southern Stand)を設計している。トンプキンス兄弟建築事務所は、アメリカの最新流行の建築技術を取り入れ、H.H. Richardsonやシカゴ派の影響を受けている。

トンプキンス兄弟(メルボルン百景)

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