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ホールズワースビル Holdsworth Building

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 ジョージ・ジョンソン

社会史

建築史1870-79


2019年2月9日(土)
Holdsworth Building
Lygon Street
カールトン Carlton
メルボルン Melbourne
この場所の地図

ホールズワースビルは、3軒の店舗が並ぶ店舗兼住居建物であり、地元の葬儀屋である施主のジョン・ダレイ(John Daley)によって1871年に建てられた。メルボルンの著名な建築家でタウンホールなどをたくさん設計している ジョージ・ジョンソン(George R Johnson)である。

撮影データ Canon EOS 5D MarkU絞り優先優先AE 評価測光 絞り 4.5 1/1000秒 ISO感度200 露出補正-1/3 太陽光 JPG レンズ EF 24-70mm f/2.8L /USM 撮影:板屋雅博 撮影2019年1月13日 17:51


1908年頃にジョン・ダレイは、建物中央の店舗で営業していた仲間の葬儀屋ジョシュア・ホールズワース(Josiah Holdsworth)に建物を売却した。ホールズワース家族は、当時から有名な葬儀屋であったが、1972年に廃業している。ホールズワース一族からビルの名前が付けられている。
19世紀の葬儀人は、現代の葬儀会社とはかなりの違いがあった。遺体の保管方法も現在とは違った。遺体は自宅で保管された後は、葬儀人に引き取られ直接、墓地に運ばれた。ホールズワース家は、1927年に悪名高いギャングのスクイジー・テイラー(Squizzy Taylor)の葬儀を取り仕切ったが、その葬儀代は支払われないままとなっている。ホールズワース家にとって最も繁忙を極めたのは、1919年のインフルエンザの流行時であった。多い時で一日五組の葬儀が、ホールズワース葬儀社によって行われた。


 建物は、レンガを建材として建築されている。レンガは、通りに面したファサードに漆喰を塗られている。後ろ側には、化粧レンガが使用されている。3つの建物は、同じ構造になっており、地下室、一階店舗、2階部分の事務所で構成されている。建物全面1階部分に広がるベランダ屋根は、鋳物製支柱に支えられ、コリント式の柱頭を持っている。
中央の店舗の前にある天蓋(キャノピー)にはホールズワース葬儀店(Undertakers)の銘が記されている。


 各店舗は、それぞれ入り口を持っていて通りから入店出来る。各店舗には、地下室への階段があり、玄武岩石材とレンガで縁取り補強されている。1階店舗部分の室内は、開放的な設計になっており、近代的なものになっている。各店舗の2階部分へは、ショッピングプラザの後ろ側にある近代的な階段でのぼることが出来る。内装の大半は新しく取り替えられているが、圧縮した金属製コーニッシュがある部屋に残っている。中央建物の屋根には、ランタン式灯火が設置され圧縮勤続屋根材が使用されている。ランタン式灯火は、ホールズワースが建物を購入した際に設置されたものと考えられる。



  ホールズワースビル 
Holdsworth Building
380 LYGON STREET CARLTON, Melbourne City
建築年:1870年
建築家: ジョージ・ジョンソン(George R Johnson)
用途:葬儀店
施主:ジョン・ダレイ(John Daley)
買主:ジョシュア・ホールズワース(Josiah Holdsworth)1907年

Holdsworth Building (VHD)

 2階部分のファサードは、少し店舗部分から後退していて、小さなバルコニーが設置されている。バルコニーには鋳物製の柱と装飾帯を持った欄干が設置されている。
1984年に裏側にショッピングプラザが建設され、その為、うしろ側の部分が取り除かれており、ホールズワースビルは小さくなっている。ホールズワースビルは、19世紀の葬儀屋と葬儀ビジネスの状況を今に伝える重要な歴史遺産である。建物が建設された1870年から1970年代まで葬儀業は継続されてきた。建物は周囲に比べて少し大きいが、19世紀の葬儀店舗の状況を反映している。主に事務所として使用されてきた。メルボルン墓地と比較的近いことも関係している。

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