2016年6月5日(日)
ガスバルブハウス
Former Gas Valve House
セントキルダ通り St Kilda Street メルボルン Melbourne
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セントキルダ通りに現存するガスバルブハウスは電気が無い1800年代後半にガス灯を道路や家庭に灯すために各種のプラントが設置されたが、その最後の史跡である。本格的で優雅な姿は、当時のガス供給システムが近代的で信頼性の高い技術であったことを示している。
撮影データ Canon EOS 5D MarkU 絞り優先AE 評価測光 1/100 F10.0 ISO感度 100 太陽光 露出補正 JPG
レンズ EF 24-70mm f/2.8L USM
2014年1月12日14:44 板屋雅博撮影
Onmydoorstep
セントキルダ歴史クラブ
セントキルダ通り617番地のガスバルブハウスは、メトロポリタンガス会社(Metropolitan Gas Company)によって1876年から1881年の期間の間で建設された。ガスバルブハウスは、この支所にあったガスホールダーのガス流量コントロールの為であった。この場所でガスが生産されたことは無く、ガスの配給の為に供給量を調整する用途であった。ガスハウス完成の翌年にガスホールダーとバルブ機器類が設置された。1878年に2基目のガスホールダーとエンジンハウスと7部屋を持つ煉瓦製建物が建設された。ガスはサウスメルボルンガス製造工場から供給され、当初はガスのフロー(流れ)に問題があったが、直径600mmから900mmの大口径ガス管が設置されて解決した。
この土地は、1865年12月30日に政府からの土地一斉売り出し(Crown Allotments)の55番地と56番地であり、GB Hailesと
J Clarkが取得した。1876年にメルボルン市ガス&コークス会社(city of Melbourne Gas & Coke Company
:MGC)が購入した。
1858年にセントキルダとプラーン地区にガスランプを灯すために地元のガス会社が設立された。1本のガスパイプラインがパントロードヒルからセントキルダに敷設された。1859年にMGCは最初の28基のガスランプを道路に設置した。その後、道路ガスランプは順次、設置された。1860年にMGCは、プリンセス橋を通してセントキルダ鉄道駅まで敷設され、セントキルダ道路に沿ってガス灯が設置された。
MGCは、1850年に設立されたが、最初にビルにガス灯ランプが点灯したのは1856年のことであった。1873年までにコリンウッド・フィッツロイ地域ガス&コークス会社とサウスメルボルンガス会社のガス供給会社が設立され、ガスパイプラインを地中に設置した。両社は1877年に合併し、メトロポリタンガス会社がこの土地も引き継いだ。
ガスバルブハウスは、バランス良く美しい姿に設計され、赤レンガを建材として使用し、化粧しっくいレンガで詳細まで美しく作り込まれている。建築様式は、1887年に建築されたノースメルボルンのガスバルブハウスとはまったく違う様式である。南側と北側のペディメント(3角形の切妻)に刻まれたメトロポリタンガス会社の文様が詳細に作り込まれている点が注目される。1892年に建設されたトーロンガ(Tooronga)のガスバルブに不器用な状態でコピーされている。その後、取り壊された。
ノースメルボルン都市ガス供給調整工場
ガスバルブハウスはメルボルンにおける1870年代の最後の生き証人として貴重な歴史遺産である。メトロポリタンガス会社としてこの様式の最初の施設であると思われる。
電気の供給が始まった1892年がガス供給のピークになった。コークスガス生産工場はビクトリア州で50か所となった。電気が徐々に普及したが、1930年代から40年代にかけて多くのビクトリア州の家庭はガス灯を好んだ。最終的に1950年にビクトリアガス&燃料公社(Gas and Fuel Corporation of Victoria)に吸収された。
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