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ノースカールトン ケーブルトラムエンジンハウス North Carlton cable tram complex

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ノースカールトン North Carton

2019年3月10日(日)
ノースカールトン ケーブルトラムエンジンハウス
North Carlton cable tram complex
ノースカールトン North Carton
メルボルン Melbourne
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ノースカールトンケーブルトラム複合ビルは、エンジンハウスと隣に車輌格納庫から成り立ちラスドーン通りの北端に1889年に建設された。メルボルンのケーブルトラム・ネットワークは、大都市メルボルンの公共交通機関として1870年代後半から計画が練りこまれて、1884年から1891年にかけて、単一の巨大なインフラ都市計画として建設された。

撮影データ Canon EOS 5D MarkU 絞り優先AE 評価測光 1/100 F10.0 ISO感度 100 オート 露出補正 JPG レンズ EF 24-70mm f/2.8L USM 2019年1月13日12:58 板屋雅博撮影


 エンジンハウスは、メルボルン・トラムウェイ公社( Melbourne Tramways Trust (MTT))、車輌格納庫は、メルボルン・トラムウェイ&乗合バス公社Melbourne Tramway & Omnibus Company (MT&OC)が共同で建設した。MTTは、ラスドーン通りとパークストリート通りの交差点にあった。ノースカールトンケーブルトラム複合ビルには、地下に走る鉄製ケーブルを駆動するエンジンハウスとトラム車輌を収容する格納庫、車輌が走る線路、ケーブルが走る地下トンネル、作業用ピット、車輌終点地ピットなどがあった。トラム車輌は、前部に運転手が乗るダミーカーと、旅客車輌の2輌編成であった。

 ケーブルトラムネットワークは、ふたつの独立した公社によって運営されていた。MTTは、エンジンハウスや線路、ケーブルなどの建設と所有を担当し、トラムが通過する数多の市当局との折衝を担当するメルボルン市が出資する公的機関である。トラムシステムの運営は、私企業であるMT&OCに契約で任されていた。MT&OCは、トラムの製造とトラム格納庫の建設を担当した。MT&OCの本社ビルは、シティ・バーク通りとスペンサー通りの交差点に現存する。1916年にMT&OCの契約は終了し、MT&OCとMTTの代わりに新しい組織、トラムウェイボード(Tramways Board (TB))が設立され、TBは単体の組織としてシステム全体を運営した。


  MTTの全ての土地や資産は、TBによって継承された。当時、メルボルンのケーブルトラムシステムは、単体の組織としては世界最大であり、世界で最も進んだ技術であった。メルボルン都市圏の開発に多大な貢献をした。
ノースカールトン路線は、1889年2月9日に開設された。パーク通りからラスドーン通りに沿ってエルジン通りまで伸びており、コリンウッド路線に接続した。コリンウッド路線は、ジョンストン通りからライゴン通りに沿ってシティまで通じていた。




ラスドーン通り側のファサード

ノースカールトン路線は、ラスドーン通りに沿って小売商店の発展を促進した。エンジンハウスは、MTTの設計者ロバート・ゴードン(Robert Gordon)によって設計された。ブルーストーンの土台の上にレンガで造られ、セメント石膏くり型(plaster mouldings)や、軒じゃばら(cornice)、化粧縁(architrave)で装飾されている。ラスドーン通り側のファサードは、切り妻(gabled)の欄干(parapet)で装飾された突き出た(projecting)出入り口(doorway)が特徴的である。隅棟のある(hipped)三角構造の屋根は、レンガの欄干によって隠れている。この建物には、石炭蒸気エンジン、駆動用フライホール(drive wheel)、駆動ケーブルの伸張機構(cable tensioning mechanism)などが収容されていた。


エンジン工場の事務所として使われた一階建レンガ作りの補助建屋は、エンジン工場の裏手に建てられた。駆動用ケーブル地下ピットは、建物内部のコンクリート製の床下に現存していると推定されている。トラム車輌工場は、建築家フレデリック・ウィリアムズ(Frederick Williams)によって設計され、簡素な実用本位のレンガ構造で中央に大きな出入り口と狭い多数の窓を持つ。両サイド壁にはかつて入り口があり、軌道トラック、地下ピット、車輌回転用ターンテーブルが内部にあった。車輌用倉庫、車輌補修、トラムダミー車輌と客車の回転などの作業に使用された。コンクリートの床の下の地下に作業室があったことが構造上で分かる。


ノースカールトン・ケーブルトラム・エンジンハウスと車輌工場は、トラム路線の終点に立地していた点で、メルボルンのトラムネットワークの中では、得意な存在である。他の路線では、エンジンハウスを路線の中央部に置き、車輌倉庫は、路線の端に置いていた。エンジンハウスと車輌工場が同じ場所にある例としては、トゥラック路線とノースコット路線がある。ノースコット路線は完全に民間企業が作ったのもであるが、1920年代にMTTによって合併された。石炭蒸気式ケーブルトラムは、1920年代から1940年までの間に徐々に電気式トラムに置き換えられた。ラスドーン通り路線は、1936年に閉鎖され、エンジンハウスと車輌倉庫と土地は、売却された。


 パーク通り側 
North Carlton cable tram engine house
RATHDOWNE STREET and PARK STREET CARLTON NORTH
建築年:1889
設計:
エンジンハウス:ロバート・ゴードン(Robert Gordon)
車輌工場:フレデリック・ウィリアムズ(Frederick Williams)

VHD

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