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テニスクラシック 2010年  8月号

メルボルン百景トップ

最新トピックスfromオーストラリア 

Aussie Press (8月号:6月10日締切

タイトル:
オーストラリアのテニスラケット事情


オーストラリアオープンでは、真夏の太陽のもとで、世界のトッププレーヤーが各社最新のラケットやファッションに身を飾って熱い戦いを展開した。
オーストラリアでは一般のテニスプレーヤーは、どんなラケットを使っているのか? 
今回は、オーストラリアのテニスラケット事情について紹介しよう。

ウィルソン、プリンス、ヘッドが
ラケット3大売れ筋。 だが異変が起きている。


テニス用品専門店の数は多くはない。
メルボルンのシティの中には調べた限りでは、スポーツ用品各種を売る店はあるが、テニス用品専門店は、一軒も無い。
少し郊外やテニスクラブ、テニスセンターなどには小規模の専門店がある。
そもそもテニス用品に限らずシティで買い物をすることは、老舗デパートで高級品を買う場合などを除いてあまり無い
一般的な買い物は、週末に郊外のショッピングセンターや専門店へ車で直行する。
そこで市内の大手スポーツ用品店レベルスポーツ(Rebel Sports)、シティ近郊テニスプロショップなどいくつかの大手スポーツ用品店、テニス専門店でテニスラケット最新事情を調べた。

どの店でも伝統的に売れ筋は、ウィルソン、プリンス、続いてヘッドの3ブランドだ。
試合前のサーブ順番とコートを決める際に、ラケットを回して決めるが、その際にラケットエンドの文字がウィルソンだと『W』または『M』と読める。プリンスだと『P』又は『d』と読める。これでサーブ順を決めるのは、オーストラリアでは、試合前の一般に常識となっているほどだ。

ところが2009年に、この3大メーカーにバボラが食い込んでくるという異変が起きている。
これは若いテニスプレーヤーたちが世界ランキングトップのラファエルナダルの使用するバボラを指名買いしていることによる。
フェデラーとナダルなど世界のトップ選手は、若いオージーの間ではアイドル化しており、影響力は強い。

ウィルソンは、オーストラリアンオープンのオフィシャルスポンサーであり、やはりオーストラリアでは圧倒的に強い。
オーストラリアのテニス界の総本山であるメルボルンパーク、ロッドレーバーアリーナのプロテニスショップは、ほとんどの製品がウィルソン製で占められている。
多くのテニス専門店が店の看板にウィルソンと入れているところが多く、テニスをしない人でもウィルソンを知っているほどだ。

話は変わるが、ナダルとフェデラーを比べるとテニスにあまり詳しくない一般のオージーには、フェデラーがずっと人気が高い。これは、フェデラーが中欧のスイス出身であり、ナダルが南欧のスペイン出身から来ていると思われる。
スペイン、イタリア、ギリシャなど南欧系移民のオージーも多いが、やはりイギリスを中心とした中欧の国々の人々がオーストラリアの主流だからだ。
人種差別というほどではないが、同じヨーロッパ人同士でも微妙な関係があることに気付かされた。

次のランクは、ダンロップ、ヨネックス、フォルクル。しかしモデル数も限られている上に在庫も少ない。
欲しい製品があれば、カタログ注文することになる。
テニスに限らないが、オーストラリアは、日本の20倍の広大な土地に、日本の6分の1ほどの人口が住んでおり、都市部以外では、お店で現物を買うよりは、カタログやインタネットで注文するのが一般的だ。
メルボルン市内には、ローカルの老舗テニスクラブには、プロショップが併設していたり、近くに専門店があるので年配のプレーヤーはなじみの店で購入するが、若い人たちには、ネット利用も多い。
他のスポーツでみても専門店がたくさんあって各種の製品が豊富に揃っているのは、ゴルフだけだ。

ネット販売の場合でも何でも揃っている訳ではない。
やはり売れ筋のウィルソン、プリンス、ヘッド、バボラがほとんどで、やっとヨネックスが買える程度である。それ以外のメーカーは、専門店でカタログ注文することになる。
どんなメーカーの製品でも店頭などで直ぐに買えるというのは、オーストラリアではまったく無いことで、あるいは世界じゅうで日本だけかもしれない。

$100ほどの廉価品から$400台の新製品まで一応は揃っている。
ウィルソンKシリーズ、プリンス スピードスポーツ、ヘッド フレッドポイント、バボラ ピュアドライブなどが店頭に並んでいるが、A$350−$400ほどであり、一般用としては値段が高い。
売れ筋では、ウィルソンNシリーズ、プリンス エアーO、ヘッド マイクロジェル、バボラ エックスエスなどが$150−$200であり良く売れている。
現在、オーストラリアドルの換算レートは、70円台であり、世界のブランドは日本よりオーストラリアが安いことが多い。
オーストラリアへ旅行に行かれたらテニスショップを覗いてみるのをお勧めしたい。

購入年齢層で見ると、14歳から18歳までが多い。
地域のテニスクラブに所属するジュニアたちがこの年齢になっておとな用のテニスクラブを購入するからだ。
親のお金でもあり比較的低価格帯の普及品が売れている。
オーストラリアの親は子供に高い用品を買うことは日本ほどではない。もちろんトップを目指すジュニアの場合は別だが。

ジュニアの次にラケットを買う層は、40歳台から50歳台だ。
人生が落ち着いてきてテニスを楽しむ年齢になってきたということだろう。
逆に20歳台、30歳台は、多少お金もあり、$300前後を買うが、そもそも仕事や家庭が中心であるためテニスに行く時間が無く、テニスラケット購入数は少ないようだ。

一般にオージーは、ラケットに限らずギアに思い入れはほとんど無い。
ただし使い捨て文化はまったく無いので、一度、買ったラケットを買い変えるのはラケットが痛まない限りほとんど無い。
10年、20年と使っているという話は良く聞く。
いったん買ってしまえば、新製品への興味は薄れることがテニス雑誌の記事構成にも表れていると思われる。

貸しテニスラケットの事情だが、オーストラリアンオープンが開催されるメルボルンパークは、貸しテニスコートがあるが、ここではテニスコートは1時間1面$26から、ラケットは$5で借りられる。
貸しラケットを使ってテニスを楽しむことも、ごく一般的だ。

 オーストラリアは、テニスラケット、ギア、ウェアのメーカーに取っては残念なことに余り魅力が無いマーケットである。

写真は、シティのレベルスポーツ(Rebel Sports)バーク通り店
プレリラケット(Prelli Racquets) コリンウッド店 オーナーのLou Smarvelliさん



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