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建築史1850‐59

キング通り

フェニックス洋服店 Phoenix Clothing Company

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2016年11月6日(日)
フェニックス洋服店
Phoenix Clothing Company
キング通りトとラトローブ通り交差点北
King Street & La Trobe Street
メルボルン
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キング通りとラトローブ通りの交差点から2軒目にフェニックス洋服店がある。1854年建築で数少ないゴールドラッシュ期の建物である。背部に工場部門を備えたビルである。

撮影データ Canon EOS 5D MarkU 絞り優先AE 評価測光 絞り10.0 1/160秒 ISO感度 100 露出補正 -1/3 太陽光 JPG レンズ EF 24-70mm f/2.8L /USM 撮影:板屋雅博 撮影2016年1月16日8:47



フェニックス洋服店は、3階建て、煉瓦作りの店舗及び住居の複合建築物である。建物の基礎や建築素材は、いくつかの異なった時代にまたがっており、何度も手直しが加えられている。
最も古い部分は、初期のゴールドラッシュ期にまでさかのぼる。3階の部分は1859年に追加建築された記録がある。建物背部の1階部分は、店舗および洋服製造工場部門であったが、1860年代の建築である。
1869年に撮影された写真には、たくさんの窓があるロッジア(建物に沿って作られた屋根付きの柱廊)が写っている。

フェニックス洋服店は、ビクトリア州で最も古い工場を備えた商業ビルのひとつであり、初期のゴールドラッシュ期の貴重な遺跡である。
キング通り沿いのファサードはゴールドラッシュ期の建築物の要素をたくさん含んでいる。
当時のキング通りは、牛や馬にに引かれた荷馬車が多く行きかう交通量も多い通りではあったが、、舗装もなく荒々しく騒然とした道路であった。
ゴールドラッシュが始まった直後であり、キング通りはベンディゴやバララットなどの金鉱山へ向かう主要道路であり、金鉱山で使う大量の物資が荷馬車や馬でひっきりなしに運ばれていた。




 フェニックス洋服店
The Former Phoenix Clothing Company 
建築年:1854年
住所:347−349 KING STREET and 4−3 PHOENIX LANE
建築様式:ジョージアン Georgian


キング通り
Victorian Heritage Register (VHR) Number
H0801
Registered:78703
Historic Building No. 801.
Crown Allotment 9, Section 33, City of Melbourne, Parish of North Melbourne as shown hatched in Certificate of Title Volume 2730 Folio 1905).
Victoria Government GazetteNo. G25 27 June 1990 p.1972

フェニックス洋服店の右隣はLangdon Building

 フェニックス洋服店の背部にある製造工場部門

フェニックス洋服店の工場部分は、1860年代の建築であり、重要な遺跡である。メルボルンの初期軽工業の性格が理解できる。フェニックス洋服店はゴールドラッシュ期のメルボルン都市部の急速な拡大と富裕層の増大の中で発展していった。1870年代に税金制度が導入されたことも関係している。
当時の洋服産業がかなり近代化されており、大規模であったことが分る。また海外からの近代的な洋服製造技術をビクトリア州に導入していたこともわかる。

右側の通りはフェニックス通り。
その奥にはキング通りが見えており、緑地はフラッグスタッフ公園

 長年に渡って数々の構造的な手直しが加えられているが、建物の本質的なデザインや構造は建築当初のままに現存している。1900年代の建築技術の高さが理解できる。

 中央の窓の上には滑車が設置してある。大量の物資が店舗内へ運び込まれていたことが分る。







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