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ユールハウス Yule House 2023

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2023年6月17日(土)  responsive版
ユールハウス Yule House 2023
リトルコリンズ通り Little Collins street
メルボルン Melbourne
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ユールハウスは、メルボルンの建築事務所オークレーandパークスが設計して1932年に建築された。この土地は、メルボルンの裕福なビジネスマンであったウィリアム・ユールが1900年代から所有していた。

撮影データ iPhone XR
絞りF1.8 1/2033秒 ISO感度 25 
2023年1月21日12:43 板屋雅博 撮影



 最初の建物は1931年に焼失した。パーシー・オークレーは、ウィリアム・ユールの知人であり、オークレー事務所は、近代的で防火構造の建物を設計した。ユールハウスは、大不況期に建築された。パークスによると経済は設計に大きな影響を及ぼすと言っている。ユールハウスは、オークレーとと設計パートナーのスタンレー・パークス、若い設計者Rae Featherstoneが設計した。ユールハウスは、ビクトリアで新しいモダン様式を取り入れた最初の商業ビルとなった。
モダン様式は、1930年代のメルボルンで商業ビルの分野で大流行した。

  ユールハウスは、1階に商業店舗を上層階には事務所(workrooms)を入居させる設計であった。
ビルのリトルコリンズ通りに向かって左右に長い窓を配置して太陽光を最大限に取り入れる設計になっている。
各フロアはシングルスパンで設計されており、これは各フロア内に柱を設置せず、入居するテナントが広く使用できるようになっていた。ユールハウスは、1985年までユール不動産(Yule estate)が所有していた。





 ユールハウスは、小型の5階建て強化コンクリート製ストリームラインモダン様式の事務所ビルである。
正面ファサードにはメルボルンのワンダーリッヒ(Wunderlich)社素焼き陶器製タイルファイエンス陶器がはめ込まれている。各フロアの正面ファサードは、スチール製フレーム複数のガラスを持つ(multi-paned)窓の水平縞模様(horizontal strips)の間で、突き出た(protruding)水平的に縞模様のある(banded)スパンドレルで分割されている。


spandrel スパンドレルは 3 角形の空白で、 アーチの上部と長方形の枠の間、 隣接する 2 つのアーチの上部、 あるいは正方形とその内部の円の間の 4 スミの 1 つである

  正面ファサードで特徴的なことは、エレガントな金属プレートにユールハウスと記された文字(lettering)である。これはモダン時代の象徴的(evocative)な事象であった。

ユールハウスの名前は、エントランスのすぐ上部、2階部分のスパンドレルに配置されている。
番地(309‐311)は、三階のスパンドレルに記されている。1932の年号は、最上部のスパンドレルに記されている。

屋上下のパラペットには、城郭風の(castellated)笠木(coping)が中央部を外して(off-centre)右側に冠されて(crowned)いる。


 一階部分にはふたつの店舗が入り、それぞれ中央部にエントランスがある。
それぞれに大型の金属フレームがある展示用の窓がある。当初は湾曲した窓があったが、現在は変更が加えられている。エントランスホールとロビーは、対照的なピンク色の縁(edging)どられたベージュ色(beige-coloured)の陶器製フロアがあった。ロビーの壁と階段覆い(staircase)の下部の周りには陶器製パネルの腰嵌め(dado)がある。
ガラス製の展示用ケース、テナントの名前、当初の火災報知器(fire alarm)などが銅製のケースに入って、エントランスホールとロビーのエレベーターの壁に設置(line)してある。



 アーネスト・ジュリアス・ワンダーリッヒ(Wunderlich, Ernest Julius :1859 - 1945、1959年イングランド生まれ)は、ワンダーリッヒの創業者であった。
同社は、メルボルンのブランズウィックで陶器製品を製造しており、豪州全土とNZに支店を持っていた。
ワンダーリッヒは、メルボルンに移民して、ドイツの形打ちした(stamped)金属製天井材の輸入商社として営業した。よりよい天井材を開発して1888年に特許を取ったが、翌年には特許を W.H. Rocke & Co.を売却して同社に入社した。ワンダーリッヒは同社のメルボルン工場の工場長になった。ワンダーリッヒは、1908年にワンダーリッヒ社(Wunderlich Ltd)を設立した。
ワンダーリッヒあ、ビジネスだけでなく豪州博物館にも才能を発揮して会長に1921年に就任し、博物館マガジンを創刊した。
Gunnamatta Bayの別荘に天文台を作り、英国天文協会のNSW支部を作って会長になった。


 ユールハウス Yule House
住所:309-311 Little Collins Street,
階数:5階建て
建築年:1932年
建築期:両大戦期 Interwar
建築事務所:Oakley and Parkes
建築様式:アールデコ 
ストリームライン・モダンStreamline Moderne style
1930年代に流行した最初の建物
施主:ウィリアムユール William Yule



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