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ウィリアム・アングリス社の馬小屋

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2015年4月18日(日)
ウィリアム・アングリス社の馬小屋
William Angliss & Co Stables
リトルバーグ通り Littlg Bourke Street
メルボルン Melbourne
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料理学校の創業者として有名なウィリアムアングリスがシティに設立した食肉の配送センターがこの建物である。1900年代初頭、冷蔵庫を保有し、メルボルン市内から広範囲にデリバリー網を築き一大食肉業を展開していた。

撮影データ Canon EOS 5D 絞り優先AE 評価測光 絞りF6.3 1/500秒 ISO感度 100 露出補正 -1/3 オートJPG レンズ EF 24-70 mm f/2.8L USM  2015年1月24日15:15 板屋雅博 撮影


ウィリアムアングリスは、1886年に21歳でメルボルンに移住し直ぐにノースカールトンに肉屋を開業した。その後、1892年にバーク通りに移転し、より大きな店舗を持った。アングリスは巨大な牧場ビジネスを構築しようと考えていた。メルボルンの地場食肉産業では独占的な地位を築いた。1905年にフッツクレイに設立した帝国冷凍工場(Imperial Freezing Works)で集中処理して海外向けでは冷凍肉を輸出して冷蔵・冷凍食肉輸出の先駆者となった。NSW州やクインズランド州でも食肉輸出を開始し、牧場経営や牛のステーションなどのビジネスへも進出した。

William Angliss & Co Stables
住所:40-44 Little Bourke Street
建築年:1900年
階層:2階建て 1階:馬車駐車場、2階:馬屋
施主:William Angliss & Co

 バーク通りの食肉販売店はアングリスの生涯に渡って本社本店となった。当時はまだ自動車がほとんど普及していない時代で市内のケーブルトラムと郊外の蒸気機関車を除き、馬車が輸送の中心であった。シティの顧客への食肉デリバリーの為に馬の馬車の宿舎が必要となり、アングリスはリトルバーク通りに2階建て煉瓦作りの建物を1900年に建設した。この場所はバーク通りのアングリス食肉本店にも隣接していた。1頭立て2輪馬車(Cart)、2頭立て4輪馬車(Wagon)は1階に駐車し、馬は傾斜路を歩いて行って2階の厩舎に入れられた。2階では45頭の馬が飼われていた。毎日午後、多数の見物人が訪れて馬具を外した裸の馬が並んで安全に傾斜路を登っていくのを見学したと云われている。

ウィリアム・アングリス社の馬小屋は、初期の強化コンクリートを床や傾斜路に使用し、1910年代にシビルエンジニア、ジョンモナッシュが採用していたモニアーシステム(Monier system)に比肩しうるものであった。

 2階部分に馬が飼われていた建物で現存している例は他には知られていない。ウィリアム・アングリス社の馬小屋は歴史的に見て非常に重要である。
メルボルンの中心地に45頭もの馬を飼っており、毎日15台以上の馬車をメルボルン市内と郊外に走らせて食肉をデリバリーしていた。ウィリアム・アングリス社は食肉店としては業界のトップ企業であった。

冷蔵庫は英国からメルボルンに移民したジェームスハリソン(James Harrison)が発明し1850年代に発明していた。1860年代には多数の冷蔵システムがメルボルンで稼働していた。1892年にスペンサー通り発電所が稼働を始めており、アングリス食肉店でも電気式の冷蔵庫冷凍庫を利用してメルボルン市内へのデリバリーや輸出を行っていた。



 フォード自動車がモデルTをジーロンで生産始めたのは1925年であり、一般に普及し始めたのは1930年代である。それまでは馬車によるデリバリーが一般的であり、ウィリアム・アングリス社のリトルバーク通り馬小屋も十分に活躍した。馬小屋と呼ぶにはあまりに立派な建物であり、現在の運送業者と比較しても十分なデリバリー体制を築いていたと云える。

馬小屋の右側(東側)
ゴードンハウス Gordon House

馬小屋の左側(西側)
シャークフィンイン

Onmydoorstep

[DOC]Former Melbourne Tramways and Omnibus Company Stables

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