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National Sorry DayStolen Generation

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2007年5月26日(土)
豪州謝罪の日 National Sorry Day
盗まれた世代 Stolen Generation
タウンホール Town Hall
メルボルン Melbourne
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週末としては久しぶりの快晴になりました。気温も20度を越えて、夕方まで快晴が続きました。風もあまりなく素晴らしい休日となりました。
Thornbury 小学校の子供たち National Sorry Dayの行進。私にご挨拶してくれてます。右は先生。
昨日までの画像 

昨年の今日 2006年5月26日

盗まれた世代 Stolen Generation
豪州の2百数十年の歴史の中で、最大の恥辱と言っていい事件です。

 1915年から1969年までの54年の間、豪州政府とキリスト教会は、豪州の原住民族であるアボリジニとトレス諸島の住民の子供たちを親から強制的に引き離して豪州政府の諸施設に入居させていたのです。豪州の各州の議会の承認のもとに合法的に、かつ警察も深く関与していました。アボリジニ及びトレス諸島住民の親権は、完全に無視されたのです。20世紀の初頭に人種間の優劣があるという理論がヨーロッパの一部で流行しました。アボリジニは、劣等民族であり彼らは単独では文明社会では生き残れないという理論です。

左側は、トレス諸島の旗。真ん中は、豪州謝罪の日 National Sorry Dayの旗。右側は、アボリジニの旗です。
トレス諸島とは、豪州の最北端ケープヨーク(Cape Yoke)とニューギニア島との間にある諸島です。

 子供の段階で、アボリジニの社会から切り離して、優等の白人社会で育てることにより白人社会に適応した人種に変換するという理論です。ヒットラーがユダヤ人を虐殺した理論と時期も内容も同じものです。この理論は、1910年頃に各州議会で承認を受け、立法化されました。各州の警察とアボリジニ保護官が赤ん坊と子供を親から強制的に引き離す権限を与えられました。引き離された子供の受け入れ施設は、政府とキリスト教会により作られました。引き離された子供たちの数は、十万人を越すと言われています。この政策がずさんな点は、大掛かりな人種差別を政府がやっていながら、きちんとした記録がとられていない点にもあります。ゆくえ知れずの子供たちの数が莫大な数にのぼったのです。もちろんこの強制収用がアボリジニの同意のもとに行われたわけではありません。

 警察による威圧、脅迫のもとに行われました。もともと草原の民であり、国家権力になんの抵抗しようもないアボリジニは、草原を逃げ惑うだけで抵抗しようもありませんでした。1800年代に豪州全土で全滅に近い状態まで殺戮されたアボリジニは、1900年代のこの事件で更に大きな痛手をこうむることになりました。連れ去られた子供たちは、政府やキリスト教会の施設に入れられました。多くの子供たちは、里子に出されています。アボリジニの言葉をしゃべったり、風習を行ったりした場合には、厳しく罰せられました。更に男の子供たちは、農業や労働に従事させられ、女の子は家政婦として働かせれました。人種差別が根底にあり、ていのいい奴隷制度とも言えます。政府による強制的な措置であり子供たちにはなんの助けも帰る場所もありませんでした。

 このような状態に置かれた子供たちが、西欧化、近代化したかについて、研究がなされています。引き離された子供たちは、中学校すら卒業するものはまれで、非行、薬物・アルコール中毒になるものが多く、引き離されなかった子供に比べてなんの良い影響も与えていません。現在、豪州全体のアボリジニの人口は50万人です。10万人以上の子供たちを奪われたアボリジニ社会への影響は計り知れないものがあります。英国人の定住前には数百万はいたと推定されるアボリジニですが、英国人による1800年代の虐殺により大幅に減少し、この事件により民族としての命運は絶たれたに近いものがあります。現在の豪州の人口は、2000万人ですので、総人口に占めるアボリジニの割合は、2.5%です。ところが、2006年の刑務所で服役している囚人の25%をアボリジニが占めています。


豪州謝罪の日 National Sorry Day
この事件の影響が現代にまで響いているのは、事実です。 参照06/12/16 この事件は、子供たちの数、政府の関与などについて様々な議論、意見があります。

しかし豪州政府、市民として盗まれた世代 Stolen Generationだけに限らずアボリジニやトレス諸島の住民に謝罪をする日として設けられました。

豪州政府Sorry Day公式Web
National Sorry Day公式web
Turning Point
盗まれた世代(豪州議会図書館Web)
Bringing Them Home 1997年に発表され衝撃を巻き起こした最初のレポート

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