2022年2月27日(日)(responsive版)
Thomas Bibb’s Cadastral Map of Melbourne
トーマス・ビブの地籍地図
エリザベス通り Elizabeth Street
この場所の地図(Googole Map)
ビブの地図(Bibbs map)は、メルボルンの都市考古学者によってゴールドラッシュ期の残存建物から建築構造を解析する(decode)ために使用されている。ビブの地図は、調査者によって異なる時代の地図が使用されている。
画像は、リトルバーク通りの中華門
撮影データ Canon EOS 5DMarkU シャッター速度AE 評価測光 絞りF4.5 1/800秒 ISO感度 100 露出補正 太陽光
JPG レンズ EF 24−70mm f/2.8L USM 2014年1月17日16:21 板屋雅博 撮影
土地局長(surveyor-general) 助役(commissioners)
ビクトリア公共記録局(Public Record Office Victoria :PROV)が所有する地図とルボルン市当局が所有するふたつのビブの地図が存在する。この文章では時代と目的が違うふたつの地図についてである。調査によるとふたつの地図が基準としているのは、どちらも1856年前半である。メルボルンの網の目状(reticulated)の水道供給を実施を促進することが目的であった。ビクトリア公共記の録局が所有する歴史的都市計画コレクションのひとつであり、貴重な歴史調査の為の情報を提供している。
画像は、リトルバーク通りの中華門とハーマジェスティ劇場
メルボルンの都市考古学者は19世紀のビブの地図を多用している。急速に発展するゴールドラッシュ期の特定にある建物の場所を特定するだけでなく、色彩によって建物の建築材料が特定できるからである。例えば鉄製の建物は、深い青で塗られている。考古学調査は、ビブの地図がカバーする地区で行われ、先鞭をつけたが、多くの疑問があった。どうやって土地と地図を正確に関連付けたか?誰がいつ作ったのか? 最初の版はいつ作られたのか?なぜビブの地図と呼ばれるのか?作られた理由は?最後の質問は、CBDを網羅する類似の一連の地図にたどり着く。
メルボルン各世帯への浄水供給は、1850年代に建設された。上下水道管理局(Commission of Sewers and Water Supply)どこに配水塔(standpipes)を置き、どこに水道栓(stopcocks)を配置するかを決定する必要があった。配水塔は全ての道路角にあり、水道栓は全ての建物の外側にあった。メルボルンの1700箇所の消火栓(fireplugsとfire
hydrants,)の場所については、記入されていなかった。メルボルンの通りにある水道本管(water mains)の場所と状況の全てが明確に記されていた。寸法を確定させることにより、技術者が必要なパイプや水道栓、消火栓の数や長さを明記することが出来た。それは、水道水が供給される必要がある地域を完全に調査したことを意味している。水道をつなぎ込む建物の種類を特定することや地域の場所を特定することを含んでいた。
ビブス地図を作成する為に使われた調査報告書は、メルボルン中央部の特性を描き出した。
トーマス・ビブ(Thomas Bibb)の地籍地図(Cadastral Map: Public Record Office Victoria,:PROV) 上下水道管理局の記録の中にはビブの名前はない。
メルボルンがNSW植民地の地区であった頃、土地測行は、ポートフィリップ地区駐在の役人によって実施された。都市計画は、シドニーに送られて承認を取った。1851年7月にビクトリアが独立した後は、独自の土地長官を任命した。1851年代にゴールドラッシュが始まると土地局はとてつもなく忙しくなった。土地調査は、決定的に必要で、特に離れた場所にある金鉱山地区で要望が強かった。しかし資格があり熟練した調査官は少なく、雇うにも賃金が高かった。
画像は、リトルバーク通りとエリザベス通りの交差点にあるレストラン
1852年初頭に、元シドニーの契約調査官クレメント・ホッジソン(Clement Hodgkinson )が土地局長官事務所の製図技師として任命された。4月には、臨時副土地局長(assistant
surveyor)に推薦された。8月には、副土地局長として正式に任命された。当時、ホッジソンは、メルボルンのトラム路線の建設に関わっていた。その後は、メルボルンの下水道と上水道の計画に関わっている。
画像は、エリザベス通り、ハーマジェスティ劇場と北側の商店
大量の金鉱夫が流れ込んできて、メルボルンの衛生状態は悪化して、大きな問題となっていた。衛生状況の改善の為の人選が急がれ、メルボルン市当局は、管轄区域(bailiwick)であると考えたが、新しく設立されたビクトリア政府法制委員会(Victorian
Legislative Council)は、自身にあると考えた。法制委員会にはその権威があり、市当局から職務を取り上げて、上下水道委員会(Water
Supply and Sewerage Committee.)を作った。ビクトリア総督(Lieutenant-Governor)チャールズ・ラトローブは、クレメント・ホッジソンに命じて、水道委員会が必要とする情報を集めさせた。土地局長(surveyor-general)にホッジソンが適切な指示を与えられているように監督することや必要な地図を渡すことを委員会に命じた。
画像は、エリザベス通り、ハーマジェスティ劇場と北側の商店
法制委員会は、上下水道委員会を立ち上げて、1853年4月13日に3名の担当助役(commissioners)を任命した。ホッジソンは、既に慈善計画を立案していた。1853年4月12日にホッジソンが作成した計画では、メルボルン市の全体像計画であり、道路計画を明示した。メルボルン衛生調査報告書1号書類(Sanitary
Survey Sheet )
全体像の作業計画書(Working plan of Contours)は、メルボルン公共文書保管局(PROV)が歴史的計画文書所蔵品のメルボルン巻(Historic
Plan Collection)MELBRL 15-1として保有しており、ネットで閲覧できる。
画像は、エリザベス通り、ハーマジェスティ劇場と北側の商店
もうひとつメルボルンの都市考古学者にとって有益な道具がある。地図には当時の建物に建築材料ごとの色彩コードが付けてあることである。更に有用なのは、1853年3月と4月に彼の調査によりホッジソンが描いたメルボルン中央部のブロック毎の10枚の一連のスケッチは現在でも利用されている。ビブの地図と同じ様式と色彩コードで掛かれており、単に道路側だけでなく建物全体を表している。その書類には1853年7月9日にメルボルン市上下水道委員会に提出されたと注釈が付けられている。誰かが完成させる為に急いで提出されたと思われ、未完成であった。ホッジソンのシリーズ調査報告書は10枚の地図がブロックごとに詳細調査を含んでいるが、それ以外は輪郭が描かれたのみである。
画像は、エリザベス通り、ハーマジェスティ劇場と北側の商店
様式や内容に類似性はあるが、1853年のホッジソン計画とビブの地図とは同じではない。ゴールドラッシュの結果、メルボルンは急速に開発された為に、数か月で特定の地区に置ける建物の数や様式は実質的に違ってきていた。上下水道委員会が独自の調査官を指名した時、調査官の仕事は、地下の水平位置や地上階の水平位置を確定することであり、新しい建物において屋外トイレ(privies)や汚水槽の状況は、市の調査官から水道局の調査官に報告された。
かくしてホッジソンの調査スケッチの後に建設された建物の詳細は委員会に送られて、ビブの地図の中にしばしば描かれており、より正確に描かれている。中央メルボルンの不完全なスケッチを7月に水道委員会に提出した後、ホッジソンはコリンウッドとリッチモンドで等高線地図(contour
map)造り、建物を描いている。1854年の中ごろ、ホッジソンは、メルボルン地区の調査官主任(Surveyor in Charge of the
Melbourne Districts)に任命された。他の調査官は、他の地区で同様の地図を作成する為に雇用された。これらの地図は、メルボルン公共文書保管局(PROV)の歴史的計画コレクションに収蔵されており、大半はデジタル化されている。
画像は、エリザベス通りとロンズデール通りの交差点の商店
1853年にメルボルン上下水道委員会(Board of Commissioners of Sewerage and Water Supply
in Melbourne])が設立されたが、下水道は作られなかった。代わってヤンイーン水源(Yan Yean Reservoir)の建設が実行され、メルボルン中央部都市化地区にパイプのネットワークが建設された。この為、建物と水道ネットワークを結合する為に建物を記入した地図が必要となった。これが、1854年のトーマス・ビブの地籍地図(Thomas
Bibb's Cadastral Map of Melbourne)であり、一般にビブの地図と呼ばれているものである。メルボルン公共文書保管局に所蔵されており、コピーがメルボルン市当局に所蔵されている。ラトローブジャーナル紙(The
LaTrobe Journal)2001年春号の21ページに引用されている。
画像は、エリザベス通りとロンズデール通りの交差点北側のマリオットホテル
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