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SHOPS AND RESIDENCES ドラモンド通り 313−315 313-315 Drummond Street

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建築史 1880-89


2019年11月2日(土)
SHOPS AND RESIDENCES
NORTH, Yarra City
313-315 Drummond Street
カールトン Carlton
メルボルン Melbourne
この場所の地図

ドラモンド通り313−315建物は、1888年に施主ヘンリー・ウィリアム・ウェルチ(Henry William Welch)によって建てられた。二階建ての商店兼住居であり、2店舗と2階のそれぞれの住居があった。設計は、インスキップ&ロバートソン事務所( Inskip and Robertson)。

撮影データ Canon EOS 5D MarkU絞り優先優先AE 評価測光 絞り 9.0 1/160 秒 ISO感度100 露出補正 オート JPG レンズ EF 24-70mm f/2.8L /USM 撮影:板屋雅博 撮影2019年1月14日 10:26


住所:313-315 DRUMMOND STREET CARLTON, Melbourne City

店舗は、直ぐに当時結成されたカールトンクラブ(Carlton Club)に賃貸された。会長は、ジョン・ガーディナー(John Gardiner)であった。
under the presidency of J Gardiner, MLA for Carlton.
1880年代にこの地域にミドルクラスの住民が多数、住んでいたことを物語る。



  玄武岩の土台の上にレンガで建築されセメントで化粧されている。正面のファサードは、左右対称形で1階の鋳物製のベランダ構造が特徴的である。上部の外観は、ゴシック様式である。2階部分は、4対のペア窓で合計8個で、窓上部は多色レンガの円形が目を引く。窓の基壇部分は、プレスをかけられた縞状の装飾をした窓間壁で支えられている。
窓枠のアーチは、先が尖った窓しきいの突起( arch drip)で縁取られている。4対の窓の間には、ゴーゴイル状の雨水の出口(gargoyle spouts)が3個設けられている。
The arches are framed by pointed arch drip moulds linked by gargoyle spouts.
drip mould:雨水(窓または戸口の上に)から下の領域を保護するように設計されたコーニスまたは窓しきいの突起

  各窓の下には、装飾的な花模様が書き込まれたセメント製のパネル(四角い枠板)が嵌めこまれている。 3つのセメント製円形窓ラウンデルにはそれぞれ高浮き彫りの王様の頭がつくられており、4対の窓間(ドリップモールズ)間の三角小間に設置されている。コーニスには腕木が付けられている。パラペット(屋根上の欄干壁)は、4つの窓間壁(ピア)があり、その上にカンガルー怪獣が設置してある。
4つのカンガルーの怪獣(グロテスク)は、まったく同じ形であり、詳細に作られている。怪獣は、カンガルーとグリフォンの折衷形状で、足は3本爪と尻尾があり、胸に盾を抱えている。パラペットの中央部には、質素な石膏装飾板ですこし浮き上がっている。パラペットの側面部は三つ葉模様が描かれている。1階部分は、内部では繋がっているが、正面ファサードは、ふたつの店舗が張り出し柱で分けられている。正面のすこし後退したドアの両側にのガラス窓がある。2か所の入り口は、鉄製の支持枠があるがシャッターの名残である。


 メインのガラス窓の上部に、鉛の枠がついたガラスを持った先が尖ったアーチの小窓がある。ジョン社(Johns & Co)製の火災の際の脱出用鋳物製らせん階段があるが、製造時期は不明である。 

SHOPS AND RESIDENCES ドラモンド通り
313-315 Drummond Street
建築:インスキップ&ロバートソン事務所( Inskip and Robertson)
建築年:1888年
建築様式:ゴシックリバイバル
施主:ヘンリー・ウィリアム・ウェルチ(Henry William Welch)

VHD


  pier(窓間壁)の上にカンガルーのグロテスク怪獣

parapet パラペット 屋根の上の欄干壁
cornice コーニス 軒ジャバラ
建物あるいは壁を完成させる水平な形作られた突起部であり、あるいはエンタブラチュア(柱に支えられる水平部)の上方の傾斜した部分である。




←パラペット中央部の質素な石膏装飾




← パラペット  三つ葉模様(trefoil)


← コーニスと腕木

 建物のファサードは、ゴシック、独特のゴシック・グロテスク様式であり重要である。
ゴシックのモチーフが取り入れられたコーニス(水平材を飾る帯)やパラペット(欄干)、キメラ怪獣、高浮き彫りのマスクを内蔵した壁の円形窓、
鉛を嵌めたガラス製のゴシック様式の窓を持ったフリーズ(子壁)、建築当初の一階店舗正面、ゴシック様式のドアなどに表れている。
ファサードの様式は、水平を重要視するベニスゴシックを思い出させる。ベニスの商業的な優越性を強く思い出させる。パラペットの上のカンガルー怪獣グロテスクは、独特で珍しいものであう。オーストラリアのシンボルとしてカンガルーが中世的に使われている。カンガルーを屋根に装飾として使用することは、後に愛国心として一般に普及した。

premises建物 let 貸す 賃貸する 
basalt plinth 玄武岩の基壇
foliation 縞状構造
gargoyle spout ゴシック建築にある怪物像注ぎ口
chimera 怪獣 high-relief 高浮き彫り
frieze 子壁 panel 四角い枠、羽目板
roundel 〔壁の〕円形{えんけい}
spandrel スパンドレル 三角小間
drip mould 雨水(窓または戸口の上に)から下の領域を保護するように設計されたコーニスまたは窓しきいの突起
bracket 腕木を付ける
pier 窓間壁 pilaster 石膏
 flank 横 側面   trefoil 三つ葉模様
leaded glass 鉛の枠がついたガラス

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