2018年9月30（日）
ヴェルトハイム　ピアノ 工場
Wertheim Piano　
アボッツフォード　Abbotsford
メルボルン　Melbourne
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ヴェルトハイムピアノは、豪州最良のピアノと云われ、１９０８年から３５年まで１８０００台のアップライトピアノを生産した。 豪州東南地区の気候に合わせた多目的ピアノであった。学校や公共ホールで使用された。長期間、メンテナンスの必要がないのが特徴であった。ピアノ教師やプロの音楽家にも愛用された。

撮影データ Canon EOS　5D　絞り優先AE　評価測光　1/320 絞りF8.0 ISO感度 100　露出補正 -1/3　オート　JPG レンズ EF 24-70mm f/2.8L 20１8年1月14日17:51 撮影：板屋雅博


　ヴェルトハイムは、１９０９年にドイツ移民のピアノ製造業者ヒューゴ・ヴェルトハイムが１９０９年に建設した。ヴェルトハイムは、１８７５年にメルボルンに実家のミシンを販売する目的でやってきた。急速に業績を伸ばし、ビクトリア、クインズランド、南豪州に代理店を置いて、ミシン、自転車、ピアノ、他のマシンを主に輸入した。中流階級のシンボルであったピアノへの需要が高いことに着目して、息子のハバート（Herbert）を欧米で研究させた。当時の有名建築家ナーハム・バーネットに設計を依頼して、リッチモンドに工場を建築して、世界の高級ピアノの比較をした。１階に製造機械を設置し、２階は事務所で、２５０００ポンドで、R McDonald社が建築した。ビクトリアで最初のピアノ工場であり、当時の連邦政府が取っていた新保護主義政策（豪州生産至上主義）を体現するものであるとして、礎石は、首相アルフレッド・ディーキン（Alfred Deakin）が置いた。オープニングセレモニーには多くのビクトリアの政治家や財界の人々がつめかけた

　ピアノ工場は、２百人の従業員を雇い、最大時には年間、２０００台のピアノを製造し、出来るだけ豪州製の材料を使用した。有名な女優で後の貴族称号のネリー・ネルバ（Nellie Melba）は、ヴェルトハイム以外のピアノは使わないと云ったそうである。会社は成功し、１９２０年代、ヴェルトハイム一族はセレブの地位を獲得した。
ヒューゴの１９１９年の死後、ハバートが跡を継いだが、１９３０年台の不況と家族で楽しむことが少なくなる風潮により１９３５年に工場は閉鎖された。
飲料や、缶入り食品、マヨネーズ、パスタなどを生産する米国ハインツ社（H J Heinz）で１９３５設立の豪州子会社がピアノを賃貸し、１９３８年に買収した。戦時中はハインツ社は、製品の大半を連邦政府に販売した。

　戦後の経済成長に伴い工場での生産量は倍増し、１９５３年から５５年にハインツ社はダンデノンに新工場を建設し、リッチモンド工場をテレビ局 GTV9に売却し、同社はスタディオと事務所として使用した。１９５６年の豪州オリンピックはこの場所から放送された。２００１年にはGTV9社は、カーツーム通り（Khartoum）に沿った土地を購入して、建屋を広げた。フッティーショーなど有名な番組がここで製作され、テレビシティの異名を取った。


ヴェルトハイムは、現在でも豪州人が所有する会社であり、ブランドネームはピアノに使用されているが、中国と韓国で生産している。リッチモンドで生産された当時のピアノで損傷がなく完全な状態にあるものは非常に価値が高い。

　ヴェルトハイム　ピアノ工場
住所：22-50 BENDIGO STREET RICHMOND
建築家：Nahum Barnet
建築年：１９０９年
建築様式：Federation Free Style
建材：赤レンガ、
屋根：陶器タイル、ピラミッド型パビリオン
ベンディゴ通りに沿って２階建ての相似の２建物があり、かつてはヴェルトハイムやハインツの名前が記されていた。


　１８８０年代にはピアノは、各家庭の家具として一般的となり、大量のピアノが主にドイツから投機的に輸入された。豪州の代理店が倉庫に入りきれないほどの在庫を抱え込んだ。内陸部へのピアノの輸送はこんなを極めた。公共ホールが建設されるとピアノは必需品で最初に設置された。ピアノは中産階級の象徴であるが、労働者階級の上位の家庭でも成功の象徴として購入されていた。１８９２年に郊外の勤労者は、娘に良い靴を履かせ、良い服を着せて、公立小学校に行かせて、分割払いで購入した小型の金属フレームのピアノを所有するのが普通に見られた。１９２０年代にラジオ放送が始まるまでは一般的であった。


ＶＨＤ

Wertheim Piano

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